転勤した場合には、これまでお世話になった取引先などへ挨拶状を送ると良いでしょう。
今回は、転勤の挨拶状を送る時期や転勤の挨拶状を送る際のその他のマナーを解説するとともに、転勤の挨拶状の文例も紹介します。
転勤の挨拶状とは
転勤の挨拶状とは、転勤となった旨を相手に知らせる書状のことです。
単に転勤の事実を伝えるのみであれば、わざわざ書状で送らずとも、電話やメールで事足りるかもしれません。しかし、挨拶状は単に転勤となった事実を伝えるのみならず、相手への感謝の想いや敬意を伝えることができるツールです。
適切な時期に適切なタイミングで挨拶状を送ることはビジネスマナーの一つであるとされています。そのため、特にお世話になった相手や今後もお付き合いを続けたい相手などには、ぜひ挨拶状を送付されることをおすすめします。
転勤の挨拶状を送る適切な時期・タイミングは?
それぞれの挨拶状には、送付するのに適切とされるタイミングがあります。では、転勤の挨拶状は、どの時期に送付をするのが適切なのでしょうか?
転勤後1~2ヶ月以内に送るのがベター
転勤の挨拶状は、転勤後1ヶ月から2ヶ月以内に送るのが良いとされています。2ヶ月を1日でも過ぎたら即座にマナー違反ということではありませんが、あまり遅くなれば相手を軽視していると思われてしまう可能性があるため、できるだけ早期に送ることが必要です。
なお、マナー上は転勤をする前に挨拶状を送っても構いませんが、その場合には転勤の事実を社外の人へ伝えても良い情報解禁日がいつであるのかは、上司などによく確認してから送るようにしましょう。情報解禁日より前に社外へ情報を出してしまうと、転勤が取りやめとなったり懲戒処分の対象となってしまったりするかもしれません。
また、いくら転勤の可能性が高かったとしても、その後まだ変更される可能性が少しでもあるのであれば、社外へ伝えるのは確定まで待った方が良いでしょう。
時期に遅れても送った方が良い
転勤後に忙殺されてしまい適切な時期に転勤の挨拶状が送れなかったとしても、今後もお付き合いを続けたい相手には、挨拶状は送付するべきです。
この場合には、挨拶状の送付が遅れてしまったことへのお詫びとともに、転勤後慣れない業務で右往左往していたがようやく落ち着きてきた旨など、近況についても合わせて記載をすると良いでしょう。
転勤の挨拶状に書くべき内容
転勤の挨拶状には、次の内容を記載することが通例です。なお、後ほど紹介をする文例と見比べながら確認するとイメージが湧きやすいでしょう。
これまでお世話になったことへのお礼
転勤の挨拶状には、これまでお世話になったことへのお礼を記載します。
たとえば、「〇〇在勤中は公私にわたり格別のご厚情を賜り おかげさまで大過なく職責を果たせましたことを心より御礼申し上げます」「〇〇在籍中は格別のご厚誼を賜り 誠に有り難うございました」などです。
異動日
転勤の挨拶状には、異動日を記載することが通例です。何月何日付けで異動となったのかを明記してください。
今後の抱負
転勤の挨拶状には、転勤先での抱負を簡単に記載すると良いでしょう。たとえば、「新任地におきましても今まで以上に業務に精励する所存でございます」などです。
異動先と今後の連絡先
転勤の挨拶状には、異動先と今後の連絡先を記載します。連絡先の記載がなければ、今後相手と連絡を取ることが難しくなってしまうためです。
転勤の挨拶状の文例
転勤の挨拶状の文例は、次のとおりです。ここでは、一般的な内容2パターンと後任者を紹介するパターンをそれぞれ紹介します。
文例1:一般的な内容
取引先などお世話になった方に対して送る転勤の挨拶状の一例です。
謹啓 陽春の候 いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます さて 私こと 4月1日付けで株式会社挨拶東京支店勤務を命ぜられ過日着任致しました 名古屋支店在勤中は公私にわたり格別のご厚情を賜り おかげさまで大過なく職責を果たせましたことを心より御礼申し上げます 新任地におきましても今まで以上に業務に精励する所存でございます 今後とも変わらぬ ご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます まずは略儀ながらお礼かたがたご挨拶申し上げます 謹言 令和5年4月吉日 株式会社 挨拶 東京支店営業部 印刷太郎
謹啓 盛夏の候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます さて 私こと この度の異動により株式会社挨拶東京支店勤務を命ぜられ過日着任致しました 名古屋支店在任中は何かとお世話になり 誠に有難うございました お陰様で10年間無事楽しく勤務することができましたことを心から感謝申し上げます 新任地におきましては初心にかえり一生懸命努力して参る所存ですので これまで同様よろしくご指導賜りますようお願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます 敬 具 令和5年7月吉日 株式会社 挨拶 東京支店営業部 印刷太郎
文例2:後任を紹介する場合
お世話になった取引先などに、後任者の紹介を兼ねて転勤の挨拶状を送る場合の文例です。 なお、後任者との連名で記載する場合もあります。
拝啓 新緑の候 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます さて 私儀 5月1日付けで株式会社挨拶東京支店勤務を命ぜられ 過日着任いたしました 大阪支店在籍中は格別のご厚誼を賜り 誠に有り難うございました 新任地におきましても微力ながら職務に精進致す所存でございます なお後任は鈴木次郎が務めさせて頂きますので 何卒倍旧のお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶を申し上げます 敬具 令和5年5月吉日 株式会社 挨拶 東京支店営業部 印刷太郎
転勤の挨拶状を送る際のマナー
転勤の挨拶状を送る際には、次のマナーに注意してください。
転勤の挨拶状は適切な時期に送付する
転勤の挨拶状を送る適切な時期は、上でも解説をしたとおり、転勤後1ヶ月から2ヶ月以内とされています。少しでも遅れたら即座にマナー違反というわけではありませんが、可能な限りこの時期内に送ることができるよう、あらかじめ準備をしておくと良いでしょう。
宛名の誤りに注意する
挨拶状を送る際には、誤字脱字をしないよう注意しましょう。中でも、相手の氏名や社名など宛名の誤りは非常に失礼に当たるため、よく注意してください。
なお、仮に誤字脱字があった場合に、修正テープや二重線で修正することはマナー違反です。そのため、書き損じがあった場合には、面倒であっても新たな用紙で作成し直すようにしましょう。
適切な敬称を記載する
挨拶状を送る際には、適切な敬称を記載しましょう。挨拶状で主に使用する敬称としては、「様」「御中」「先生」の3つが存在します。それぞれの使い分けは、次のとおりです。
「様」を使用する場合
挨拶状の送り先が個人である場合には、敬称として「様」を使用します。たとえば、次のように使用します。
- 挨拶太郎様
- 株式会社挨拶 代表取締役 挨拶太郎様
- 株式会社挨拶 営業部部長 印刷次郎様
このように、一般個人宛に送る場合のほか、社内の特定の人に当てて挨拶状を送る場合には「様」を使用します。
なお、役職名に続けて「様」を使うことはありません。たとえば、「株式会社挨拶 挨拶太郎社長様」や「株式会社挨拶 営業部 印刷次郎部長様」などは、誤った用法です。
「御中」を使用する場合
「御中」は、挨拶状の送り先が企業や部署などの団体である場合に使用する敬称です。たとえば、次のように使用します。
- 株式会社挨拶 御中
- 株式会社挨拶 営業部 御中
なお、個人名に続けて「御中」を使うことはありません。たとえば「株式会社挨拶 営業部 印刷次郎 御中」「株式会社挨拶 営業部御中 印刷次郎様」などは、いずれも誤った用法です。
「先生」を使用する場合
「先生」は、恩師や、弁護士や税理士などの士業、医師など宛に挨拶状を送る場合に使用する敬称です。たとえば、次のように使用します。
- 挨拶高等学校 山田太郎先生
- 医療法人挨拶会 伊藤太郎先生
- 弁護士 挨拶一郎先生
なお、「先生」に続けて「様」を記載することはありません。たとえば「弁護士 挨拶一郎先生様」などは、誤った用法です。
頭語と結語を記載する
挨拶状はいきなり本文から書き始めるのではなく、頭語から書き始めることが通例です。転勤の挨拶状で使える頭語には、次のものなどが存在します。
- 拝啓:一般的な挨拶状で使用される頭語です
- 謹啓・恭啓:目上の方宛である場合など、特に改まった場面で使用される頭語です
なお、頭語には「前略」も存在しますが、こちらは次で解説をする時候の挨拶を省略する場合に使用する頭語であるため、転勤の挨拶状での使用は望ましくありません。
一方、結語とは、本文の最後に記載をする文言のことです。使用することができる結語は、使用をした頭語によって制限されますので、代表的な組み合わせを覚えておくと良いでしょう。
それぞれの頭語で使うことのできる結語は、次のとおりです。
- 頭語で「拝啓」を使用した場合:「敬具」や「敬白」など
- 頭語で「謹啓」や「恭啓」を使用した場合:「謹言」や「謹白」など
時候の挨拶を記載する
本文に入るまでに、頭語に続いて時候の挨拶を記載します。時候の挨拶とは、季節に沿った文言で相手の健康や成功を願う文章です。
挨拶状を送る相手が企業か個人であるかによって、次のように使い分けます。
- 企業向け:「〇〇の候 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」「〇〇のみぎり 貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます」など
- 個人向け:「〇〇候 〇〇様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」「〇〇のみぎり 皆様いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます」など
この「〇〇」には、「陽春」や「新緑」など、挨拶状を送る季節に合った文言を記載します。これに続く「~の候」か「~のみぎり」は、いずれであっても構いません。
ただし、「みぎり」の方がやや柔らかい印象となるでしょう。
これに続く文章では、企業の場合には成功や発展を願う文言を記載します。たとえば、「ご盛栄」「ご隆盛」「ご清栄」「ご隆昌」などです。
相手が個人である場合には、健康や幸せを願う文言を記載してください。たとえば、「ご健勝」や「ご清祥」などです。
以前の部署への悪口などは記載しない
転勤の挨拶状は、転勤の事実を伝えるとともに、相手へこれまでお世話になったことへのお礼を述べる書状です。そのため、いくら親しい取引先であったとしても、以前の部署や会社の悪口などを記載することは避けましょう。
このような挨拶状は受け取った相手にとって気分が良くないものであるばかりか、転勤の挨拶状は封筒に入れずにハガキのままで送ることも多く、送付先の相手のみならず他の人の目にも触れる可能性があるためです。
また、取引先などに広く会社や部署の悪口などを記載してしまえば、場合によっては会社との間でトラブルになる危険性もあるでしょう。
転勤の挨拶状を適切な時期・タイミングで送るために
転勤直後は異動先の業務を覚えたり異動先で新たな人間関係を築いたりする必要などがあり、ただでさえ忙しくなることでしょう。仮に何ら準備をしていなければ、このような状況下で適切な時期に挨拶状を送ることは容易ではありません。
では、適切な時期に転勤の挨拶状を送るためには、どうすればよいのでしょうか?具体的な対策は次の3点です。
早めから挨拶状の準備に取り掛かる
適切な時期に転勤の挨拶状を送るためには、早くから挨拶状の準備に取り掛かっておくことがポイントです。
まだ転勤の事実を社外に口外できない段階であっても、挨拶状の文面を検討し始めることはできるでしょう。あらかじめ準備を進めていくことで、スムーズな送付が可能となります。
あらかじめ送付先リストを整備しておく
挨拶状を送る際に手間と時間のかかる作業の1つに、送付先の選定とリストの整備があります。これを事前に行っておくことで、転勤後適切なタイミングで挨拶状を送ることが可能となります。
リストを整備する際には、重要な相手が送付先から漏れていないかどうか、入念に確認してください。また、リストに相手の変更情報が反映されているかどうかもよくチェックしておきましょう。
たとえば、次のような情報の反映漏れに特に注意が必要です。
- 相手の名字が変わった
- 相手の役職名が変わった
- 相手の社名が変わった
- 送付先となる相手の所在地や住所が変わった
テンプレートを活用する
挨拶状の文面を一から作成しようとすれば、相当な時間を要してしまうことでしょう。そのため、転勤の挨拶状を送る際には、テンプレートをうまく活用することをおすすめします。
当サイト「挨拶状印刷.jp」でも転勤の挨拶状のテンプレートを多く取り揃えておりますので、こちらをご活用頂くことで時間の大幅な短縮につながります。文面の変更もできますので、マナーに沿ったオリジナルの挨拶状を簡単に作成いただくことが可能です。
まとめ
転勤の挨拶状は、転勤後1ヶ月から2ヶ月以内には送るのがマナーとされています。しかし、転勤前後は何かとやるべきことが多いため、この時期に挨拶状を送るためには、事前の準備やテンプレートの活用が欠かせません。
ぜひ当サイト「挨拶状印刷.jp」のテンプレートをご活用いただき、適切な時期の送付に間に合わせましょう。また、宛名印刷や発送までを代行するオプションサービスもありますので、こちらの活用もおすすめです。 転勤の挨拶状を送る際には、ぜひ「挨拶状印刷.jp」の活用をご検討ください。