適切な時期に適切な挨拶状を送ることは、重要なビジネスマナーの一つです。Eメールなど便利な通信手段が発達している昨今であるからこそ、重要な局面できちんとした挨拶状を送ることで、相手への敬意がより伝わることでしょう。
今回は、挨拶状をビジネスで活用するべき場面や注意すべきマナーなどについて詳しく解説します。
挨拶状はビジネスマナーの一つ
重要な場面で適切な挨拶状を送ることは、ビジネスマナーの一つです。マナーに即した挨拶状を適切なタイミングで送ることで、相手への敬意を示すこととなる他、相手にとってきちんとした企業であるとの印象を与えることが可能となるでしょう。
Eメールでの連絡との違い
さまざまな通信手段が発達している昨今では、Eメールなどで気軽に連絡を取ることが可能となっています。
確かに、単に事実を伝えるのみであれば、Eメールなどで伝えれば良いかもしれません。しかし、挨拶状は単に事実を伝える手段ではなく、相手への感謝や敬意までも伝えるツールです。
また、Eメールとは違い、形として手元に残りやすいものであるともいえます。あえて手間を掛けて挨拶状を送ることで、相手にとってより良い印象が残りやすくなるでしょう。
挨拶状をビジネスで送るべき主な場面:会社として送る場合
挨拶状をビジネスで送るべき場面は少なくありません。まずは、会社として挨拶状を送る場面を紹介しましょう。
開業や法人設立
新たに開業した場合や法人を設立した場合などには、お世話になっている相手に挨拶状を送り、その事実を伝えると良いでしょう。この場合には、より広く挨拶状を送ることで、今後顧客となってくれたり、顧客を紹介してくれたりする可能性も期待できます。
開業や法人設立の挨拶状は、開業や法人設立の1週間から2週間前までに送ることがマナーです。相手がお祝いの花などを送ってくれる場合もありますので、あまりギリギリで送ってしまうと相手を慌てさせてしまうかもしれません。
なお、飲食店の開業などでプレオープン日を設ける際には、プレオープンの2週間前までには挨拶状を送ると良いでしょう。あまりギリギリの日付で送ってしまうと、相手がプレオープン日に他の予定を入れてしまい、訪れてもらえなくなる可能性が高くなってしまうためです。
事務所移転
事務所や会社の本店所在地を移転した場合には、取引先などに挨拶状を送りましょう。この場合には、2週間から1ヶ月前頃までには届くように挨拶状を手配することがマナーです。
挨拶状を送るのがあまりに遅くなってしまうと、移転先を知らない相手が旧所在地に郵便物を送ったり訪れたりして、迷惑をかけてしまうかもしれません。
支店開設
新たに支店を解説した場合には、取引先などに対して挨拶状を送りましょう。
支店開設の挨拶状は、支店開設が決まったらできるだけ早く送付します。遅くとも、支店開設の1週間から2週間前には相手に届くように送りましょう。
社長交代
社長が交代した際には、取引先や株主などに対して、挨拶状を送りましょう。
この場合には、新たな社長の就任後おおむね1週間以内に挨拶状を送るのがマナーであるとされています。新社長の就任前に送ることは一般的ではありません。
なお、社長交代の挨拶状は退任した社長から送るのではなく、新社長の名義か、新社長と退任した社長との連名のいずれかで送ることが通例です。
特に重要な取引先には挨拶状を送るのみならず、挨拶回りに出向くことも忘れないようにしてください。
役員就任
役員が新たに就任した場合には、取引先や株主などに対して挨拶状を送りましょう。この場合の挨拶状は、社長交代の場合と同様に、就任から1週間以内に送ることが通例です。
役員就任の挨拶状は、就任した個々の役員からではなく、会社名義で送ることが一般的であるとされています。
挨拶状をビジネスで送るべき主な場面:個人として送る場合
会社の従業員である個人がビジネスで挨拶状を送る主な場面は、次のとおりです。
転勤
転勤が決まったら、お世話になった取引先などへ挨拶状を送りましょう。転勤の挨拶状は、転勤日より前に送付することが基本であるとされています。
しかし、職種などによっては会社から転勤情報の解禁日が定められている場合もあるでしょう。この場合には、指定された解禁日より前に挨拶状を送ってしまうことのないよう、注意が必要です。
転勤前に送れない場合には、遅くとも転勤後1ヶ月以内には相手へ届くように送付してください。なお、転勤の挨拶状には転勤をする事実の他、これまでお世話になったお礼や転勤先についての情報なども記載することが通例です。
出向
出向が決まったら、お世話になった取引先などに挨拶状を送付しましょう。「出向」とは、元の会社に籍を置いたまま別の会社に勤務することです。
この場合の挨拶状は、出向後遅くとも1ヶ月以内に相手へ届くように手配すると良いでしょう。
退職
退職が決まったら、これまでお世話になった取引先などへ挨拶状を送りましょう。退職の挨拶状は、退職のおおむね1ヶ月前から2週間前までに送付することが基本のマナーです。
しかし、あまり早くに取引先へ退職を伝えることが適切ではない場合や、急に退職が決まる場合などもあるかと思います。
そのような際には、退職後に挨拶状を送っても構いません。ただし、遅くても退職後1ヶ月以内には相手へ届くように送りましょう。
退職の挨拶状には、退職をする事実は今後の進路の他、これまでお世話になったお礼を記載することが一般的です。
挨拶状をビジネスで送る際に知っておくべきマナー:準備編
挨拶状には、さまざまなマナーが存在します。挨拶状をビジネスで活用する際には、思いがけずマナー違反をしてしまうことのないよう注意してください。
マナー違反にならないため、準備段階で気をつけたい項目は次のとおりです。
挨拶状を送るタイミングに注意する
挨拶状には、上でそれぞれの挨拶状を紹介した欄でも触れたとおり、送付するのに適切なタイミングが存在します。挨拶状の内容に応じて、適切な時期を大きく外してしまうことのないよう注意が必要です。
たとえば、社長交代の挨拶状など、中には送付に適切なタイミングが非常に短いものも存在します。時期に遅れてしまわないよう、計画的に準備を進めてください。
送付先リストに漏れがないか注意する
挨拶状を送る際には、送付先のリストに漏れがないかどうか慎重に確認することをおすすめします。重要な取引先へ送付が漏れてしまい、後日他の方面から漏れ聞くような事態となれば、今後の取引に影響してしまいかねません。
送付先リストを最新に保つ
挨拶状を送る先のリストへは、最新の状態を保ちましょう。リストの情報が古ければ、たとえば相手の役職名を以前のもので送ってしまうなど、宛先の誤りにつながってしまうためです。
また、相手先の移転情報が反映されていなければ、せっかく送った挨拶状が届かずに戻ってきてしまうかもしれません。
挨拶状をビジネスで送る際に知っておくべきマナー:作成編
挨拶状を作成する際には、マナー違反となってしまわないよう、次の点に注意してください。
頭語と結語を記載する
挨拶状は、頭語から書き始め、結語で締めるのがマナーです。頭語とは、「拝啓」「謹啓」などであり、「拝啓」がもっとも頻繁に使われています。
ビジネスの挨拶状においても、「拝啓」が使われることが多いといえます。ただし、たとえば社長交代の挨拶状など、よりかしこまった印象を与えたい場合には、「謹啓」など、もう一段丁寧な頭語を使うと良いでしょう。
結語は頭語とセットになっており、使用した頭語によって使用できる結語がおのずと決まってきます。
たとえば、頭語に「拝啓」を使用した場合の結語は、「敬具」などです。また、頭語に「謹啓」を使ったのであれば、結語は「謹言」や「謹白」などとなります。
時候の挨拶を記載する
挨拶状はいきなり本題から書き始めるのではなく、頭語に続けて時候の挨拶を記し、その後本題に入ることがマナーです。時候の挨拶とは、季節感を表現しつつ相手の活躍や健康を願う文言を指します。
たとえば、相手が企業など事業者である場合には、次のような表現が一般的です。
- 〇〇の候 貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます
- 〇〇の候 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます
この「〇〇」には、「立秋」や「初冬」など、挨拶状を送る季節にそった文言が入ります。
なお、季節を問わずに使うことのできる表現として、「時下」も存在します。たとえば「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」などのように使われます。
また、送る相手が一般個人である場合には「ご隆盛」などは使用せず、「ご健勝」など健康を願う文言とすることが多いでしょう。たとえば、「〇〇の候 皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」などです。
基本的に句読点は使わない
挨拶状では、句読点を使わないことが基本のマナーです。これは、句読点が文書を区切る役割を持つものであることから、「縁を切る」という意味を連想させてしまうためであるといわれています。
また、句読点が使われ始めたのは比較的近年である一方、挨拶状はそれ以前から存在するものであるため、古来の風習にならったものであるとの説も有力です。
最近では読みやすさを重視して、横書きの挨拶状を中心に句読点が使われることも増えてきました。しかし、ビジネスで送る挨拶状のうち、特にフォーマルなものにおいては、旧来のマナーに沿って、原則どおり句読点を使わない方が無難でしょう。
基本的に段落おとしは行わない
「段落おとし」とは、文章のはじめを一段下げて書き始めるルールです。パソコンを使う方にとっては、「インデント」の方が、イメージが湧きやすいかもしれません。
この段落おとしは、挨拶状においては使わないことがマナーです。これも、古来の文章では使われなかったためであるとされています。
句読点と同じく、近年では読みやすさを重視して、主に横書きの挨拶状を中心に段落おとしが行われることも増えています。
しかし、ビジネスで送る挨拶状のうち特にフォーマルなものにおいては、原則どおり段落おとしを行わない方が無難でしょう。
基本的に「さて、私儀」などは小さく端に寄せる
先ほど解説したように、挨拶状は頭語と時候の挨拶の後に本題に入ることが通例です。この、本題に入るための区切りとして、「さて、私儀(わたくしぎ)」、「さて、私こと」などの前置きがしばしば使われます。
この、「さて、私儀」や「さて、私こと」は、他の文字よりも少し小さいフォントで記載し、かつ端に寄せることがマナーの一つであるとされています。つまり、縦書きの文章においては、下の方から「さて、私儀」とはじまり、横書きの文章では、右の方から「さて、私儀」と書き始めるということです。
中途半端な位置から文章が始まるようで、見慣れていないと違和感があるかもしれません。これは、このようなものであると知っておくと良いでしょう。
適切な敬称を使用する
挨拶状の宛名に付ける敬称は、誤った使い方をしないよう注意してください。挨拶状で使う敬称は、原則として「様」「御中」「先生」の3択であると考えておけば間違いありません。
これらの使い分けは、次のとおりです。
- 「様」:送付先が個人である場合に使用します。一般家庭の個人へ送る場合はもちろんのこと、団体内部の特定の相手に送る場合の敬称も「様」となります。たとえば、「株式会社挨拶 営業部 印刷花子 様」「株式会社挨拶 代表取締役 挨拶太郎様」などです。
- 「御中」:送付先が会社全体や部署全体など、団体である場合に使用します。たとえば、「株式会社挨拶 御中」「株式会社挨拶 営業部 御中」などです。
- 「先生」:送付先が恩師である場合や、弁護士などの士業である場合に、「様」の代わりに使用します。たとえば、「弁護士 印刷次郎 先生」などです 。
縦書きの方がよりフォーマルになる
ビジネスで送る挨拶状に、縦書きか横書きかの明確なルールはありません。ただし、一般的には、縦書きの方がよりフォーマルな印象を与えることが可能です。
また、比較的年配の人のなかには、挨拶状など正式文書は縦書きをするものだと考えている人も存在します。
一方、パソコンやスマートフォンを見慣れている人にとっては、横書きの方が読みやすいという場合が多いでしょう。そのため、挨拶状の内容や与えたい印象、そして挨拶状を送る層などによって、縦書きか横書きかを検討すると良いでしょう。
挨拶状をビジネスで送る際に失敗しないポイント
挨拶状をビジネスで送る際には、マナー違反などの失敗をしてしまわないように注意しましょう。挨拶状で失敗しないためのポイントは次のとおりです。
文面を数回チェックする
せっかくの挨拶状に誤字脱字があれば、チェック体制が整っていない会社であるとの印象を与えてしまいかねません。また、挨拶状に誤字脱字があったとしても、修正テープや二重線で直すことはマナー違反です。
そのため、挨拶状を大量に印刷する前に、誤字脱字などがないか複数回文面をチェックすることをおすすめします。
適切なマナーを知る
先ほど解説したように、挨拶状にはさまざまなマナーが存在します。しかし、挨拶状に触れる機会が減ってしまっている現代では、これらのマナーを自然に身に着けることは難しいといえるでしょう。
マナー違反の挨拶状を送ってしまうことのないよう、基本のマナーを知ったうえで挨拶状を作成するようにしましょう。
テンプレートを活用する
挨拶状のマナー違反で失敗してしまわないためには、テンプレートを活用する方法がおすすめです。当サイト「挨拶状印刷,jp」では、ビジネスで使える挨拶状のテンプレートをシーンごとに数多く取り揃えています。
このようなテンプレートは基本的なマナーを踏まえて作成していますので、マナー違反の挨拶状を送ってしまうリスクを格段に下げることができます。
まとめ
挨拶状をビジネスで活用すべき場面は、少なくありません。適切なマナーを知り、ぜひビジネスシーンに合った挨拶状を送りましょう。
しかし、自社で一から挨拶状の文面を作成するには、手間と時間がかかります。そのため、挨拶状をビジネスで送る際には、挨拶状のテンプレートを効果的に活用すると良いでしょう。
当サイト「挨拶状印刷,jp」では、ビジネスで使える挨拶状のテンプレートを、シーンごとに数多くご用意しています。このテンプレートを活用していただくことで、マナーに合った挨拶状を簡単に作成いただくことが可能です。 ビジネスで送る挨拶状の印刷は、ぜひ「挨拶状印刷.jp」へお任せください。