相手の両親に結婚の挨拶をした後は、帰宅後すぐにお礼状を送ると丁寧です。挨拶後にすみやかにお礼状を送ることで、相手の両親によりよい印象を与えることができるでしょう。
では、結婚挨拶のお礼状はどのように作成すれば良いのでしょうか?今回は、結婚挨拶のお礼状の基本の構成を解説するとともに、男女別の文例を紹介します。
結婚挨拶のお礼状とは
結婚挨拶のお礼状とは、相手の両親に結婚の挨拶をした後で送るお礼状です。挨拶のために時間を割いてくれたことへのお礼のほか、結婚を承諾したもらった場合にはそのお礼や今後への想いなどを記載します。
結婚挨拶のお礼状は送るべき?
結婚挨拶のお礼状は、必ず送らなければならないものではありません。
しかし、結婚の挨拶は挨拶をする側はもちろん、挨拶を受ける相手の両親も少なからず緊張するものです。また、わざわざ時間を割いてもらっている他、相手の自宅へ伺った場合には、何かと気を遣わせていることでしょう。
そのため、今後家族となる相手の両親とより良好な関係を築くためには、きちんとお礼をすべきであるといえます。
結婚挨拶へのお礼は、電話や、LINEなどを知っている場合にはLINEなどで行う場合もあるでしょう。ただし、きちんと挨拶状という形で送った方がより丁寧であり、好印象です。
今後家族となる相手の両親とより良い関係を築くため、結婚の挨拶の後には、お礼状を送ることをおすすめします。
結婚挨拶のお礼状はいつ送る?
結婚挨拶のお礼状は、挨拶後、できるだけすぐに送ることがマナーです。遅くとも、挨拶の翌日中には投函するようにしましょう。
このタイミングで送付するために、あらかじめある程度文章を検討したり、下書きをしたりしておくとスムーズです。
なお、最近では普通郵便の配達が遅くなっているほか、土日には配達されません。そのため、お礼状の発送とは別途、まずは帰宅後や翌日に電話でまずはお礼を伝えるようにするとより丁寧です。
結婚挨拶のお礼状の基本構成
結婚挨拶のお礼状を書こうにも、最近では挨拶状を書く機会が減っていることから、何をどのように書けば良いのかわからないという場合も少なくないでしょう。
しかし、挨拶状には、基本の構成が存在します。この基本の構成さえ知っておけば、さほど難しいものではありません。結婚挨拶のお礼状の基本構成は、次のとおりです。
頭語
結婚挨拶のお礼状などの挨拶状は、頭語から書き始めることが基本です。頭語とは手紙の「こんにちは」に相当するものであり、これを書かずにいきなり本題から書き始めれば、やや唐突な感じがしてしまうでしょう。
結婚挨拶のお礼状で使用する頭語は、「拝啓」もしくは「謹啓」が基本です。基本的には、「拝啓」を用いれば問題ありません。
一方、「謹啓」とは「謹んで申し上げます」という意味であり、よりかしこまった印象を与えたい場合にはこちらを使用します。
前文
頭語に続けて、前文を記載します。前文では、「先日はお忙しいところ貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。」など、相手に時間を割いてもらったことへのお礼を記載すると良いでしょう。
なお、通常の挨拶状では、頭語の次に「師走の候」や「陽春のみぎり」など時候の挨拶を記載してから本題に入ることが通例です。
しかし、結婚挨拶のお礼状では、時候の挨拶は必要ありません。なぜなら、時候の挨拶は「〇〇の季節になりましたね」と相手と季節感を共有するためのフレーズであり、挨拶状を書いている当日や前日に会った相手へのお礼状でこれを記載するのは、やや違和感があるためです。
また、一般的に使用される「皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」などの表現も、昨日や今日顔を合わせた相手に送る挨拶状に記載することは、やや違和感があるといえるでしょう。
本文
前文に続けて、本文を記載します。結婚を承諾してもらった場合、本文では次のような内容を前向きに記載すると良いでしょう。
- 結婚を承諾してもらったことへのお礼とその感想
- 今後の結婚生活へ向けた簡単な抱負
- 今後もご指導をお願いしたい旨
これらの内容を、自分の言葉で簡潔かつ丁寧に記載します。
一方、結婚を承諾してもらえなかった場合には、次のような内容を記載することが多いでしょう。
- 挨拶を受けてもらったことへのお礼
- 相手にふさわしい男性(女性)となるため努力する旨
- 改めて挨拶をしたい旨
いずれであってもマイナスな内容は避け、今後へ向けた前向きな内容を記載します。
結びの挨拶
最後に、結びの挨拶を記載します。
「末筆ではございますが、お二人のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、まずはお礼のご挨拶とさせていただきます。」などです。
他に、「またお目にかかれる日を楽しみにしております。」などと記載しても良いでしょう。
結語
結婚挨拶のお礼状は、結語で締めます。結語とは頭語に対応するものであり、挨拶状での「さようなら」に相当するものです。
使用できる結語は使用をした頭語によって決まっており、それぞれ次のものが適切とされます。
- 頭語が「拝啓」の場合:「敬具」など
- 頭語が「謹啓」の場合:「謹白」など
なお、書き手が女性である場合には、結語に「かしこ」を使用することができます。結語に「かしこ」を使用することで、文章全体がやややわらかな印象となるでしょう。
結婚挨拶のお礼状例文:女性から相手の両親宛
ここからは、結婚挨拶のお礼状の文例を紹介します。
まずは、女性から相手の両親へ送るお礼状の文例を、2つ紹介します。女性側から送る場合には、相手の家族の一員となれる喜びや今後もいろいろと教えて欲しいという気持ちをやわらかな表現で伝えると好印象となりやすいでしょう。
一般的な内容
女性が相手の両親に送る結婚挨拶のお礼状の一般的な内容は、次のとおりです。
拝啓 先日はお忙しいところ貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。 大変緊張していたのですが、お父様とお母様に温かなお心遣いをいただいたことで気持ちがほぐれ、楽しい時間を過ごすことができました。 太郎さんとの結婚を快くお許しいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。 笑顔とやさしさに溢れたこんなにも素敵なご家族の一員として迎えていただけることを、心から嬉しく思います。 未熟な私ですので教えていただくことばかりかとは思いますが、太郎さんを支えられるように頑張りたいと思っておりますので、どうぞご指導のほどよろしくお願い申し上げます。 末筆ではございますが、お二人のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、まずはお礼のご挨拶とさせていただきます。 かしこ
この他、挨拶に伺った際の具体的なエピソードを入れても良いでしょう。たとえば、「頂いたお料理もとても美味しく、感激してしまいました。」などです。
あまり堅苦しくない内容
相手のご両親と、もともと面識があった場合など、あまり堅苦しいお礼状を書くことを避けたい場合もあるでしょう。その場合の文例は次のとおりです。
先日はお忙しいところお時間をいただき、本当にありがとうございました。 いつも優しく接してくださる太郎さんのお父様とお母様に改めて結婚のご挨拶ができて、身の引き締まる思いです。 ご家族の一員として迎えていただけること、とても嬉しく思います。 これからも教えていただくことがたくさんあるかと思いますが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 まずはお礼を申し上げたく、筆を取らせていただきました。 またお目にかかれますときを、心待ちにしております。
堅苦しくないとはいえ、結婚挨拶のお礼状ですので、あまり砕け過ぎた内容は好ましくありません。平易な言葉を使い、また頭語と結語を省く程度に留めると良いでしょう。
結婚挨拶のお礼状例文:男性から相手の両親宛
男性から相手の両親に送る結婚挨拶のお礼状の文例を3つ紹介します。男性側から送る場合には、頼もしさを感じさせる表現にすると好印象となりやすいでしょう。
一般的な内容
男性が相手の両親に送る結婚挨拶のお礼状の、一般的な文例は次のとおりです。
拝啓 先日はご多用中にも関わらず貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。 大変緊張していたのですが、お父様とお母様に温かなお心遣いをいただき、幸せな時間を過ごさせて頂きました。 お二人の愛情を一身に受け大切に育まれた花子さんとの結婚を快くお許し頂きましたこと、心より感謝申し上げます。 花子さんと結婚させて頂ける幸せを改めて感じるとともに、非常に身の引き締まる思いです。 若輩者の私ではございますが、お二人のような素敵な夫婦になれるよう花子さんと協力してまいる所存ですので、今後とも、ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。 末筆ではございますが、お二人のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、まずは御礼のご挨拶とさせていただきます。 敬 具
相手の両親のような素敵な家庭を築きたいなどの内容を記載すると、好印象となりやすいでしょう。
あまり堅苦しくない内容
あまり堅苦しくない結婚挨拶のお礼状の文例は、次のとおりです。
先日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。 これまでもお二人には大変よくしていただいておりましたが、改めて結婚のご挨拶ができましたこと、大変嬉しく思っております。 改めまして、花子さんとの結婚を快諾いただきありがとうございます。 これからもご指導いただくことばかりかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。 簡単ではございますが、まずはお礼を申し上げたく、お便り致しました。 本当にありがとうございました。
堅苦しくないとはいえ、あまりに砕け過ぎず平易な言葉にする程度とすると良いでしょう。
結婚の申込みを断られた場合の内容
結婚の挨拶をしたものの、結婚を承諾してもらえない場合もあるでしょう。その場合にも、挨拶をさせてもらったことへのお礼状を出すことをおすすめします。
その際の文例は、次のとおりです。
拝啓 先日はご多用中にも関わらず貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。 花子さんのお父様、お母様にご挨拶させて頂けましたこと、大変感謝しております。 お二人のお話をお伺いし、自分の至らなさを痛感致しております。 未熟な私ではございますが、花子さんにふさわしい男性になれるよう精進してまいりますので、どうかご指導ご鞭撻いただければ幸いでございます。 また近いうちにご挨拶させて頂ければと存じます。 まずは御礼を申し上げたく筆を取らせて頂きました。 敬 具
結婚を承諾してもらえなかった場合には、挨拶の機会をもらったことへのお礼を記載します。そのうえで、結婚を許してもらえるように頑張るので、また挨拶をさせて欲しいという内容を記載すると良いでしょう。
結婚挨拶のお礼状で注意したいその他のマナー・注意点
せっかく結婚挨拶のお礼状を送っても、マナー違反をしてしまうと良くない印象を与えてしまうかもしれません。結婚挨拶のお礼状を送る際には、次の点に注意しましょう。
・挨拶状は縦書きで手書きが基本
・誤字脱字に注意する
・シンプルな便箋と封筒を選ぶ
・マイナスの内容は書かない
挨拶状は縦書きで手書きが基本
結婚挨拶のお礼状は、縦書きが基本です。正式な挨拶状は縦書きをするものであり、横書きはややカジュアルな印象となることを知っておきましょう。
ただし、あまり堅苦しくしたくない場合には、あえて横書きとしても差し支えありません。
また、結婚挨拶のお礼状は利き手を負傷しているなど何らかの事情がない限り、原則として手書きです。
大勢に同じ内容で送る挨拶状であればパソコンで作成したもので構いませんが、結婚挨拶のお礼状は同じものを複数通送るようなものではないため、手書きが望ましいといえます。文字に自信がない場合でも、ゆっくりと丁寧に書くと良いでしょう。
誤字脱字に注意する
挨拶状では、誤字脱字に注意しましょう。また、仮に誤字脱字をしてしまったら二重線や修正テープなどで訂正せず、手間であっても新たな用紙に書き直すことがマナーです。
なお、中でも相手の氏名の誤りは、大変な失礼にあたります。お名前の漢字などを誤ることのないよう、パートナーによく確認しておきましょう。
また、宛先の「様」は次のように、それぞれのお名前に付けて記載します。
挨拶 太郎様 花子様
次のように「様」を一つにまとめることは適切ではないため注意が必要です。
挨拶 太郎 様 花子
シンプルな便箋と封筒を選ぶ
結婚挨拶のお礼状はハガキで送っても構いませんが、便箋と封筒を使って送った方がより丁寧です。そのため、可能であれば便箋と封筒で送った方が良いでしょう。
使用する便箋は、白無地のものが基本です。ただし、無地のものでは文字をまっすぐ書くのが難しいという場合には、罫線が書かれたものであっても構いません。
原則として絵柄が書かれたものは避けますが、季節の花など上品な絵柄がささやかに添えられた程度であれば、問題ないとされることが多いでしょう。
使用する筆記具は万年筆や筆ペンなどが基本ですが、そもそも持っていないという場合などには、黒や濃紺のボールペンであっても構いません。
マイナスの内容は書かない
結婚挨拶のお礼状において、ネガティブなことを記載することは適切ではありません。
結婚を承諾してもらえなかった場合であっても、恨み言や言い訳がましい内容は避け、挨拶させてもらったことへのお礼とともに、今後へ向けた前向きな内容を記載しましょう。
まとめ
相手の両親に結婚の挨拶をしたら、すみやかに結婚挨拶のお礼状を差し出しましょう。丁寧なお礼状を出すことで、相手の両親とよりよい関係が築きやすくなります。
また、挨拶後にすぐに差し出すことができるよう、あらかじめ文案を検討したり、下書きをしたりしておくことをおすすめします。
結婚に際しては、結婚の挨拶状など、挨拶状を出す機会が増えるものです。しかし、挨拶状のマナーや書くべき内容に悩んでしまうことも少なくないでしょう。
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