年末には、挨拶状を送る機会が増えることでしょう。年末に挨拶状を送る目的は、1年間お世話になったお礼を伝えることや、お歳暮に添えることなどです。
今回は、年末に送る挨拶状の文例を紹介するとともに、挨拶状の基本構成についても解説します。
年末の挨拶状を送る目的
年末の挨拶状を個人で送ることは、あまりないかもしれません。間近に、年賀状を送る時期も迫っているためでしょう。
一方、ビジネスの場では、年末の挨拶状がしばしば活用されています。ビジネスシーンで年末の挨拶状を送る主な目的は次のとおりです。
1年の感謝を伝えるため
1つ目の目的は、取引先などに対して1年の感謝を伝えることです。年末の挨拶状を送ることで、感謝の想いを丁寧に伝えることが可能となります。
年末年始の休業案内をするため
2つ目の目的は、取引先などに対して年末年始の休業日を知らせることです。
年末年始は、まとめて休業を取る会社が少なくありません。そのため、あらかじめ休業日を伝えておくことで、取引先などが知らずに発注をするなどしてトラブルとなる事態を防ぐ効果が期待できます。
年末年始の休業案内とともに、1年の感謝を伝える内容とすることが多いでしょう。
お歳暮に添えるため
3つ目の目的は、お歳暮に添えることです。
年末はお歳暮シーズンであり、取引先などにお歳暮を送る機会も多いかと思います。そのお歳暮に添えるため、挨拶状を作成する場合も少なくないでしょう。
お歳暮に添える挨拶状には、「添え状」と「送り状」の2つが存在します。それぞれ、次のものを指します。
- 添え状:お歳暮の品に同封して送る挨拶状
- 送り状:お歳暮とは別送で、お歳暮を送ったことを伝える挨拶状
このうち、「送り状」が本来のあり方であり、より丁寧です。
なお、お歳暮に添え状を同封する場合、封筒に入れることは構いませんが、封筒の封をしてはなりません。これはマナーではなく、郵便法の規定によるものです。
郵便法によれば、挨拶状などの信書は本来、宅配便などで送ることはできません。ただし、例外的に「貨物に添付する無封の添え状または送り状」のみは、お歳暮の品などとともに宅配便に同封して良いこととされています。
年末に送る挨拶状の基本構成
年末に送る挨拶状の基本構成は、次のとおりです。後ほど紹介する文例と照らし合わせてご確認いただくと、よりイメージしやすいかと思います。
・頭語
・時候の挨拶
・相手の成功や健康を願うフレーズ
・1年間お世話になったお礼
・年末年始の休業案内
・お歳暮を送る旨
・来年へ向けた挨拶
・結びの挨拶
・結語
頭語
はじめに、頭語を記載します。よほど親しい相手に送る場合など例外的なケースを除き、挨拶状は、頭語から書き始めることがマナーです。
頭語にはさまざまなものが存在しますが、年末に送る挨拶状では、「拝啓」か「謹啓」を用いることが多いでしょう。
このうちもっとも基本となる頭語は「拝啓」であり、年末の挨拶状では、基本的にはこちらを使用すれば問題ありません。一方、目上の相手に対してよりかしこまった内容の挨拶状を送る際には、「謹啓」を使用します。
時候の挨拶
頭語に続けて、時候の挨拶を記載しましょう。時候の挨拶とは、挨拶状に季節感を添えるフレーズです。年末にビジネスシーンで送る挨拶状では、次の表現がよく使用されます。
- 師走の候
- 歳末の候
これらは、12月中であればいつでも使用できる表現です。なお、「~の候」の代わりに、「~のみぎり」という表現を用いても構いません。こちらはやや柔らかな印象を与え、女性が用いることが多いでしょう。
相手の成功や健康を願うフレーズ
時候の挨拶に続けて、相手の成功や健康を願うフレーズを記載します。相手が企業や事業者であれば、次のような表現です。
- 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
- 貴社いよいよご隆昌のこととお慶び申し上げます
相手が企業などの場合には、このように相手企業の成功や繁栄を意味する言葉を記載しましょう。
一方、相手が一般個人の場合には、次のような表現となります。
- 〇〇様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
- 皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
「ご健勝」とは健康に暮らすことを意味し、「ご清祥」とは幸せに暮らすことを意味する表現です。
なお、ここまでを「前文」と呼ぶこともあり、すべてつなげるとつぎのようになります。
- 拝啓 師走の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
- 拝啓 歳末のみぎり 〇〇様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
1年間お世話になったお礼
年末に送る挨拶状では、本文のはじめに1年間お世話になったことへのお礼を記載しましょう。
ビジネスシーンであれば、「今年一年も格別のご愛顧を賜りまして厚く御礼申し上げます」や、「本年も格別のご愛顧を賜りまして厚く御礼申し上げます」などです。
他にも、次のような表現などが考えられます。
- 今年一年も温かいご指導を賜り 心より感謝しております
- 本年も〇〇様には格別のご支援を賜り 厚く御礼申し上げます
- 本年も格別の御厚誼を賜り 心より御礼申し上げます
なお、挨拶状でしばしば活用される「厚誼」とは「こうぎ」と読み、目上の相手からの情愛のこもった付き合いを指します。一方、同じ読みをする「交誼」とは親しい付き合いのことを指し、こちらは同僚など対等な相手に用いる表現です。
目上の相手に対して「本年も御交誼を賜り」などという表現は使わないよう注意しましょう。
年末年始の休業案内
年末の挨拶状で年末年始の休業日を知らせる場合には、休業日を記載します。たとえば、「弊社では誠に勝手ながら令和〇年12月〇日から令和〇年1月〇日まで年末年始休業とさせていただきます」などです。
なお、本文では「弊社では誠に勝手ながら下記の日程を年末年始休業とさせていただきます」などとし、本文の後に記書きで休業日を記載する場合もあります。
たとえば、12月29日は休業、30日は営業、31日から1月3日までは休業、など休業日の間に営業日が入る場合や、たとえば30日は時間を短縮して営業する場合など本文で書くとわかりづらくなりそうな場合には、次のように記書きの形を取ると良いでしょう。
記 ・12月29日 休業 ・12月30日 15:00まで営業 ・12月31日~1月3日 休業 ・1月4日~ 通常営業 以上
お歳暮を送る旨
年末の挨拶状をお歳暮とともに送る場合や、お歳暮の送り状とする場合には、その旨を記載しましょう。
お歳暮に同封して送る場合には、「つきましては日頃の御礼と歳末の御挨拶を兼ねまして 心ばかりの粗品を贈らせていただきますので 御笑納いただければ幸いです」などです。
一方、お歳暮と挨拶状を別送する場合には、「つきましては日頃の御礼と歳末の御挨拶を兼ねまして 心ばかりの粗品を別送させていただきました〇日頃には届くかと存じますので 御笑納いただければ幸いです」などとなります。
別送する場合にはおおよその到着日を記しておくと、相手が受け取りやすくなるでしょう。
また、宅配便の発送者がお歳暮を購入したデパートなどとなる場合には、「〇〇デパートより発送致しました」などと記載すると親切です。
このように記載をすることで、「〇〇デパート」から荷物が届いた際にお歳暮であることが分かり、安心して受け取ることができるためです。
来年へ向けた挨拶
次に、来年へ向けた挨拶を記載します。たとえば、次のような文言です。
- 明年も変わらぬ御厚誼を賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます
- 明年も変わらぬ御交誼のほど 宜しくお願い申し上げます
- 本年中のご愛顧に心より御礼申し上げますとともに 来年も変わらぬお引立てのほど宜しくお願い申し上げます
結びの挨拶
本文の最後に、結びの挨拶を記載しましょう。たとえば、次のような表現です。
- 略儀ながら 書中をもちまして歳末の御挨拶申し上げます
- 甚だ略儀ではございますが 書面にて一年の御礼を申し上げます
- 貴社のいっそうのご繁栄をお祈りし 年末の挨拶とさせて頂きます
- 皆様のご健康とご多幸をお祈りし 年末の挨拶とさせて頂きます
- 年末へ向けて御多忙のことと存じますが どうぞご自愛くださいませ
結びの挨拶では、書中での挨拶を詫びる文言や、相手の成功や幸せなどを願う文言を記載すると良いでしょう。
結語
挨拶状の最後には、結語を記載します。
使用できる結語は使用をした頭語によって決まりますので、基本の組み合わせを覚えておくと良いでしょう。使用できる結語は、それぞれ次のとおりです。
- 頭語が「拝啓」の場合:「敬具」など
- 頭語が「謹啓」の場合:「謹白」や「謹啓」など
なお、プライベートで女性が送る挨拶状では、「かしこ」という結語もしばしば使用されます。
年末に送る挨拶状の文例:休業日を知らせるもの
年末に送る挨拶状のうち、年末年始の休業日を知らせるものの文例は、次のとおりです。
拝啓 師走の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 今年一年も格別のご愛顧を賜りまして厚く御礼申し上げます さて 弊社では誠に勝手ながら令和〇年12月〇日から令和〇年1月〇日まで年末年始休業とさせていただきます ご不便とご面倒をお掛け致しますが よろしくご了承のほどをお願い申し上げます 本年中のご愛顧に心より御礼申し上げますとともに 来年も変わらぬお引立てのほど宜しくお願い申し上げます 甚だ略儀ではございますが 書面にて一年の御礼を申し上げます 敬 具
年末年始の休業日を明記するとともに、1年間お世話になったことへのお礼を記載しましょう。なお、休業日は本文の後に、記書きする形でも構いません。
年末に送る挨拶状の文例:お歳暮に添えるもの
お歳暮を送るとともに年末の挨拶をする場合の文例は、次のとおりです。ここでは、お歳暮に同封する「添え状」とお歳暮とは別送する「送り状」の文例を、それぞれ紹介します。
お歳暮に同封する挨拶状(添え状)の文例
年末の挨拶状をお歳暮に同封する添え状の文例は、次のとおりです。
拝啓 師走の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 本年も格別のご愛顧を賜りまして厚く御礼申し上げます つきましては日頃の御礼と歳末の御挨拶を兼ねまして 心ばかりの粗品を贈らせていただきますので 御笑納いただければ幸いです 明年も変わらぬ御厚誼を賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます 略儀ながら 書中をもちまして歳末の御挨拶申し上げます 敬 具
挨拶状では日頃の感謝を伝えるとともに、お歳暮を同封した旨を記載しましょう。
お歳暮と別便で送る挨拶状(送り状)の文例
上でも触れたとおり、年末の挨拶状をお歳暮とは別便で送ると、より丁寧な印象となります。この場合の文例は、次のとおりです。
拝啓 師走の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 平素は格別のご愛顧を賜りまして厚く御礼申し上げます つきましては日頃の御礼と歳末の御挨拶を兼ねまして 心ばかりの粗品を別送させていただきました 〇日頃には届くかと存じますので 御笑納いただければ幸いです 明年も変わらぬ御厚誼を賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます 略儀ながら 書中をもちまして歳末の御挨拶申し上げます 敬 具
挨拶状をお歳暮とは別便で送る場合には、例文のように、品物がいつ頃届くのか記載しましょう。
いつ頃届くのかが分かることで、相手がスムーズに受け取りやすくなるためです。
まとめ
年末には、お歳暮の添え状や年末年始の休業案内として、挨拶状を送る機会が増えるでしょう。取引先などとの関係をより親密なものとするために、挨拶状を活用することをおすすめします。
しかし、ただでさえ慌ただしい年末に挨拶状の文面を一から作成することは、負担が大きいかもしれません。その場合には、挨拶状テンプレートのご利用がおすすめです。
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