法要や法事の場面では、今も挨拶状が多く活用されています。しかし、挨拶状の作成に慣れていない人も増えており、何をどのように書けばよいか分からない場合も少なくないことでしょう。
よく理解しないままに挨拶状を作成すれば、マナー違反となったり恥をかいたりする事態となりかねません。そこで今回は、法要の挨拶状の基本構成やポイントを解説するとともに、ケース別の例文を紹介します。
法要の挨拶状の主な種類
ご家族のご逝去後は、宗教や宗派に応じて四十九日法要や一周忌法要、三回忌法要などさまざまな法要を営むこととなります。そして、法要の挨拶状には、主に2つの種類があります。
法要の挨拶状を作成する際は、いずれに該当するかを確認したうえで作成するとスムーズでしょう。はじめに、2パターンの法要の挨拶状について概要を解説します。
法要の案内状
1つ目は、法要の案内状です。
これは、その法要に参列してほしい相手に対して、事前に法要の場所や日時などを知らせる挨拶状です。挨拶状には法要に参列するために必要な場所などの情報に加え、ぜひ参列してほしい旨を記載します。
また、人数を把握する必要性から、出欠連絡用の返信用はがきを付けた往復はがきで送ることも少なくありません。
法要を無事に終えたことを伝えるお礼状
2つ目は、法要を無事に終えたことを知らせる挨拶状です。
法要に参列しなかった相手に対して、法要を無事に終えた旨やお礼を記載します。また、挨拶状の送付と併せて香典返しをすることもあります。
四十九日法要の挨拶状の例文
法要の挨拶状は、どのような文面で作成すればよいのでしょうか?ここでは、四十九日法要の挨拶状の例文をケースごとに紹介します。
四十九日法要の案内状
四十九日法要を案内する際の挨拶状の例文は、次のとおりです。
謹啓 薫風の候 皆様におかれましてはお変わりもなくお過ごしのことと拝察申し上げます
先般の葬儀に際しましては御懇篤なる御弔慰を賜り誠に有難く厚く御礼申し上げます
さてこの度 左記日程にて亡父太郎の四十九日法要を相営むこととなりました
ご多用の折柄誠に恐縮に存じますが
何卒ご臨席賜りますようご案内願い申し上げます 謹 白
記
日時 令和〇年〇月〇日(土) 午前〇時より
場所 〇〇寺(〇〇県〇〇市〇〇1-1-1、電話XX-XXXX-XXXX)
なお 法要後は供養の粗宴をご用意しております
令和〇年〇月
XXX-XXXX 〇〇県〇〇市〇〇2-2-2
喪主 挨拶一郎
誠に恐縮ですが 〇月〇日までに同封のはがきにて出席の有無をご一報いただきますようお願い申し上げます
いつ、どこで誰のどのような法要を営むのかを簡潔に記載したうえで、ぜひ列席してほしい旨を記載します。また、法要後には会食をすることが多く、人数を把握する必要があることから、期限を区切って出欠の連絡をもらうようにするとスムーズでしょう。
四十九日法要を無事に終えたことを伝えるお礼状(戒名なし)
四十九日法要を家族など近親者のみで営み、後日報告をする場合の挨拶状の例文は、次のとおりです。ここでは、戒名を記載しない場合の例文を紹介します。
謹啓 先般 亡父 太郎 儀 葬儀に際しましてはご多用中にもかかわらず御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く厚く御礼申し上げます
お蔭をもちまして 〇月〇日に四十九日の法要を滞りなく相済ませました
早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ
誠に失礼ながら書中をもちまして挨拶申し上げます 謹 言
葬儀の際のお礼を伝えるとともに、四十九日法要を無事に終えた旨を報告します。
なお、「御鄭重なる御厚志」を直接的に表現すると、「手厚い香典」となります。
お礼状では特に金銭については婉曲した表現が好まれやすく、このような表現としています。
また、「拝眉」とは相手に会うことをへりくだって伝える表現です。他に、相手のもとに出向いていく意味である「拝趨」も、挨拶状ではよく用いられます。
四十九日法要を無事に終えたことを伝えるお礼状(戒名あり)
四十九日法要を無事に終えたことを報告するお礼状のうち、戒名を記載する場合の文例は次のとおりです。
謹啓 先般 亡父 太郎 儀 葬儀に際しましてはご多用中にもかかわらず御懇篤なる御弔慰を賜り 誠に有り難く厚く御礼申し上げます
お蔭をもちまして 〇月〇日に
〇〇〇〇〇〇〇(戒名)
四十九日の法要を滞りなく相済ませました
早速拝趨の上御礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして挨拶申し上げます 謹 言
戒名を記載する際は、「誰の四十九日法要であるか」を記載する箇所に戒名を記すことが一般的です。
なお、四十九日法要の日付は具体的に記載せず、「このたび」などとしても構いません。また、「御懇篤なる御弔慰」とは、「心のこもった、とむらいと遺族への慰め」を指す表現です。
葬儀に参列してお悔やみの言葉をくれたことなどを、このように表現することが多いでしょう。
香典返しとともに法要を無事に終えたことを伝えるお礼状
先ほど解説したとおり、四十九日法要の挨拶状とともに香典返しをすることは少なくありません。香典返しは四十九日の忌明け後に行うのが原則であり、四十九日法要の報告をするタイミングと重なるためです。
四十九日法要の報告とともに香典返しをする場合の挨拶状の文例は、次のとおりです。
謹啓 先般 亡父 太郎 儀 葬儀に際しましてはご多用中にもかかわらず御懇篤なる御弔慰ならびに御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く厚く御礼申し上げます
お蔭をもちまして このたび
〇〇〇〇〇〇〇(戒名)
四十九日の法要を滞りなく相済ませました
つきましては 供養の印までに心ばかりの品をお届けいたしますので 何卒御受納くださいますようお願い申し上げます
早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして挨拶申し上げます 謹 言
香典返しを「供養の印」の「心ばかりの品」と表現し、ぜひ受け取ってほしい旨を記載しています。
(参考)神式の場合の挨拶状
四十九日法要は、仏教の場合に営む法要です。
一方で、神式の場合には、亡くなってから50日目に「五十日祭」を営むことが通例とされています。神式の場合に、無事に五十日祭を終えた旨を伝える挨拶状の例文は次のとおりです。
謹啓 先般 亡父 太郎 儀 帰幽に際しましてはご多用中にもかかわらず御懇篤なる御弔慰ならびに御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く厚く御礼申し上げます
お蔭をもちまして このたび五十日祭を滞りなく相営みました
つきましては 偲び草のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしますので 何卒御受納くださいますようお願い申し上げます
早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして挨拶申し上げます 謹 言
神式の場合には、亡くなったことを「帰幽」と表現します。また、神式の場合も香典返しにあたる風習があり、この品を「偲び草」などといいます。「供養」は仏式の用語であるため、使わないよう注意しましょう。
一周忌法要・三回忌法要の挨拶状例文
一周忌法要や三回忌法要の挨拶状も、基本的には先ほど紹介をした四十九日法要の場合と大きな違いはありません。ここでは、一周忌法要や三回忌法要の挨拶状の例文を紹介します。
法要の案内状
法要を案内する挨拶状の例文は、次のとおりです。なお、例では「一周忌法要」と記載していますが、三回忌法要の挨拶状はこの部分を「三回忌法要」に変更してください。
謹啓 春暖の候 皆様には益々ご清祥のことと拝察申し上げます
さてこの度 左記日程にて亡父太郎の一周忌法要を相営むこととなりました
ご多用の折柄誠に恐縮に存じますが
何卒ご臨席賜りますようご案内願い申し上げます 謹 白
記
日時 令和〇年〇月〇日(土) 午前〇時より
場所 〇〇寺(〇〇県〇〇市〇〇1-1-1、電話XX-XXXX-XXXX)
なお 法要後は供養の粗宴をご用意しております
令和〇年〇月
XXX-XXXX 〇〇県〇〇市〇〇2-2-2
喪主 挨拶一郎
誠に恐縮ですが 〇月〇日までに同封のはがきにて出席の有無をご一報いただきますようお願い申し上げます
四十九日法要の案内状と大きく異なるものではありません。ただし、葬儀からは日が経っていることから、葬儀のお礼を伝える一文は必要ないでしょう。
法要を無事に終えたことを伝えるお礼状
法要を無事に終えたことを伝える挨拶状の例文は、次のとおりです。なお、こちらも三回忌法要の場合には、「一周忌法要」を「三回忌法要」と置き換えるだけで構いません。
謹啓 皆様におかれましては益々ご清祥にお過ごしのことと存じます
先般 亡父 太郎 儀 一周忌法要を相済ませましたのでご報告申し上げます
生前中故人が賜りました御厚誼に心より感謝申し上げます
早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして挨拶申し上げます 謹 言
法要を無事に終えたことを報告するとともに、生前のお付き合い(御厚誼)のお礼を伝える内容としています。
法要の挨拶状の基本構成
法要の挨拶状は、基本構成さえ理解すれば難しいものではありません。ここでは、法要の挨拶状の基本構成を解説します。
頭語
はじめに、頭語を記載します。頭語は、挨拶状のはじめに記載する定型的な表現であり、代表的なものに「拝啓」があります。
ただし、「謹啓」のほうがよりかしこまった表現であるため、法要の挨拶状では「謹啓」を使うことも多いでしょう。
(時候の挨拶)
続けて、時候の挨拶を記載します。これは、挨拶状に季節感を添える表現であり、「陽春の候」や「薫風の候」などのようなフレーズです。
法要の挨拶状では時候の挨拶を記載することもある一方で、省略することも少なくありません。
安否の挨拶
続けて、安否の挨拶です。法要の挨拶状は個人宛であることが多いため、健康を意味する「ご健勝」や幸せに暮らすことを意味する「ご清祥」などがよく用いられます。
また、一般的な挨拶状では「ご清祥のこととお慶び申し上げます」と記載することが多いところ、供養にまつわる挨拶状で「慶」の字を使うことに抵抗を感じる人もいることから、例文ではこれを避けた表現としています。
本題
続けて、本題を記載します。
本題は、簡潔かつ伝えるべき事項が伝わるように丁寧に記載しましょう。あまり個人的なことは記載せず、用件のみにとどめることが一般的です。
締めの挨拶
最後に、締めの挨拶をします。一般的には、書中での挨拶を詫びる文言を入れることが多いでしょう。
結語
最後に、結語を記載します。結語は挨拶状の最後に記載する定型的な表現であり、頭語と対応するものです。
使用できる結語は使用した頭語によって異なり、頭語が「謹啓」であれば結語は「謹白」や「謹言」とすることが一般的です。一方で、頭語が「拝啓」の場合には、結語は「敬具」や「敬白」などとなります。
法要の挨拶状の作成ポイント
法要の挨拶状を作成する際は、どのような点に注意すればよいのでしょうか?最後に、法要の挨拶状を作成する主なポイントを3つ解説します。
- 縦書きで作成する
- 句読点は使わない
- 誤字脱字に注意する
縦書きで作成する
法要の挨拶状は、縦書きでの作成が基本です。カジュアルな場面で送る挨拶状であれば横書きとすることもあるものの、法要の挨拶状を横書きとするケースは近年でもあまり見かけません。
句読点は使わない
法要の挨拶状では、句読点は使わないのが基本です。これにはさまざまな説があるものの、伝統的な挨拶状である法要の挨拶状に句読点がなじまないためとの説が有力でしょう。
誤字脱字に注意する
法要の挨拶状では、誤字脱字がないようご注意ください。誤字脱字をしたり誤った表現をしたりしないためには、テンプレートを活用して作成するのがおすすめです。
まとめ
法要の挨拶状の基本構成やポイントを解説するとともに、ケースごとの例文を紹介しました。
法要の挨拶状には、主に法要の日時などを知らせる挨拶状と、法要を終えた旨を報告する挨拶状があります。記載すべき内容をあらかじめ確認したうえで、丁寧な挨拶状を作成しましょう。
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