葬儀後には、挨拶状を送る機会が非常に多く発生します。たとえば、葬儀の参列者に渡す会葬礼状や、香典返しとともに忌明けに送る挨拶状などです。
今回は、葬儀後に送る挨拶状をまとめるとともに、それぞれの文例も紹介します。
葬儀後に送る主な挨拶状とは
挨拶状とは、相手に対してこちらの近況を伝えたり相手の近況を伺ったりするとともに、相手に感謝の気持などを伝える書状です。
最近ではEメールやSNSなどの連絡ツールが発達しているため、挨拶状を送る機会はさほどないかもしれません。しかし、葬儀など弔事の場面での連絡をEメールなどで行うことは今も一般的とはいえず、挨拶状が広く活用されています。
葬儀後に送る主な挨拶状は、次のとおりです。
会葬礼状
会葬礼状とは、葬儀などの参列者に対して渡すお礼状です。
元々はお礼の品とともに後日郵送することとされていましたが、最近では会葬返礼品とともに会場で手渡すことが一般的となっています。多くの方に対して同じ文面のものをお渡しすることとなるため、誰に対してであっても違和感のない、シンプルな内容とすることが多いでしょう。
会葬返礼品とともに、葬儀会館などが用意をしてくれることも少なくありません。
供物などへのお礼状
葬儀などへは参列できなかったにもかかわらず供物や弔電などを送ってくれた方や、葬儀で特にお世話になった方などに対しては、葬儀後にお礼状を送ります。葬儀後、1週間後までを目安に送ると良いでしょう。
なお、四十九日の忌明け後に、香典返しの品物とともにお礼状を送っても構いません。
忌明けの挨拶状
忌明け後には、香典を頂いた方などに対して、香典返しの品物とともに忌明けの挨拶状を送りましょう。忌明けの時期は、仏式の場合には四十九日の法要後、神式の場合には五十日祭の祭事後とされています。
また、キリスト式の場合には忌明けの概念がありませんが、亡くなってから30日目に行う追悼ミサ(カトリック)や、亡くなってから1か月目に行う記念式(プロテスタント)の後にお花料などのお返しをすることが一般的です。
なお、最近では葬儀の当日に香典返しを行う「当日返し」をすることも増えています。その場合には、原則として忌明けに別途香典返しをする必要はありません。
ただし、高額な香典を頂いた場合などにはあらかじめ用意をした当日返しの品物のみでは不十分となる場合がありますので、別途忌明け後に香典返しを行いましょう。
喪中はがき
近しい人が亡くなった後、おおむね一周忌までは「喪中」となります。喪中とは行動を謹んで故人の冥福を祈る期間であり、年末年始の挨拶などを控えることが一般的です。
そのため、相手が年賀状の準備を始める11月中から12月初旬までの間に喪中はがきを送り、新年の挨拶を控える旨を知らせておきましょう。
葬儀後に渡す会葬礼状の文例
葬儀後、会場で手渡す会葬礼状の文例は、次のとおりです。
謹啓 亡父 太郎儀 葬儀に際しましては 御多用中にもかかわらず ご会葬いただき ご丁重なるご弔慰を賜り 誠にありがたく厚く御礼申し上げます ここに生前のご厚情を深謝し 略儀ながら書中をもちまして 謹んで御礼申し上げます 謹 白
なお、著名人や企業の経営者などの葬儀や「お別れの会」などでは、故人の人柄に触れたオリジナリティ溢れる会葬礼状が用意されることも多いようです。しかし、葬儀は亡くなってからすぐに行うものであり、ただでさえ気忙しい中で文案を練ることは容易ではないでしょう。
そのため、多くの参列者に同じ内容の挨拶状を渡すことになりますので、シンプルな内容で記載することが一般的です。
葬儀後に送る供花などへのお礼状の文例
葬儀後に送る供花などへのお礼状は、葬儀に参列しなかった相手に送るものと、葬儀に参列してくれた相手に送るものの2つを紹介します。
葬儀に参列しなかった相手へのお礼状
葬儀に参列しなかったものの、供花を送ってくれた相手に送るお礼状の文例は、次のとおりです。
謹啓 先般 亡父 太郎儀 葬儀に際しましては立派な御供花を賜り 心より感謝申し上げます 温かなお心遣いを賜り おかげさまで葬儀もつつがなく終えることができました 本来であれば早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ 略儀ではございますが書中にて御挨拶申し上げます 謹 白
なお、頂いたものが供花ではなく弔電であった場合には、「立派な御供花」の部分を「御鄭重な弔電」などとしましょう。
葬儀に参列した相手へのお礼状
葬儀に参列をしてくれた相手へ後日送るお礼状の文例は、次のとおりです。
謹啓 先般 亡父 太郎儀 葬儀に際しましては 御多用中にもかかわらず御会葬賜り 御鄭重なる御芳志を賜りましたこと 誠に有難く厚く御礼申し上げます 当日は行き届かぬことばかりでございましたが 何卒御容赦くださいませ 亡父にかわりまして 生前の御厚情に心より御礼申し上げます 本来であれば拝眉の上御挨拶申し上げるべきですが 略儀ながら書中をもちまして御挨拶申し上げます 謹 白
また、弔辞などを読んでくれた相手には「〇〇様にお心のこもったお別れの言葉を頂戴し 生涯最期の一頁を飾ることができました 父も喜んでいるに違いありません」などの文章を入れるなど、お世話になった内容を具体的に添えると良いでしょう。
葬儀後に送る忌明けの挨拶状の文例
忌明け後に、香典返しとともに送る挨拶状の文例は、次のとおりです。ここでは、仏式の場合と神式の場合、キリスト式の場合の3パターンを紹介します。
仏式の場合
仏式の場合に送る忌明けの挨拶状の文例は、次のとおりです。
謹啓 御尊家御一同様には益々御清祥にお過ごしの御事と存じます 先般 父 太郎 永眠の際は御鄭重なる御弔詞ならびに御懇篤なる御厚志を賜りまして 誠に有難く厚く御礼申し上げます お陰をもちまして このたび 〇〇〇〇〇〇(戒名) 四十九日忌法要を滞りなく相営むことができました つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたので 何卒御受納くださいますようお願い申し上げます 早速拝趨の上御礼申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもちまして 謹んで御挨拶申し上げます 謹 白
なお、戒名がない場合には、文例のうち戒名の部分のみを省略します。
神式の場合
神式の場合における忌明けの挨拶状の文例は、次のとおりです。
謹啓 御尊家御一同様には益々御清祥にお過ごしの御事と存じます 先般 父 太郎 帰幽の際は御鄭重なる御弔詞ならびに御懇篤なる御玉串料を賜りまして 誠に有難く厚く御礼申し上げます お陰をもちまして このたび 五十日祭の祭事を滞りなく相営むことができました つきましては偲び草のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたので 何卒御受納くださいますようお願い申し上げます 早速拝趨の上御礼申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもちまして 謹んで御挨拶申し上げます 謹 白
神式の場合には、亡くなったことを「帰幽」、供養のことを「偲び草」などと表現します。また、忌明けにあたる行事は「五十日祭」となりますので、誤らないよう注意しましょう。
キリスト教式の場合
キリスト式の場合、お花料などのお返しを送る文例は、次のとおりです。
謹啓 御尊家御一同様には益々御清祥にお過ごしの御事と存じます 先般 父 太郎 召天の際は御鄭重なる御弔詞ならびに御懇篤なる御花料を賜りまして 誠に有難く厚く御礼申し上げます お陰をもちまして このたび 三十日記念式を滞りなく相営むことができました つきましては偲び草のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたので 何卒御受納くださいますようお願い申し上げます 早速拝趨の上御礼申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもちまして 謹んで御挨拶申し上げます 謹 白
なお、こちらはプロテスタントの場合の例文です。
カトリックの場合には、「召天」ではなく、「帰天」と表現しましょう。また、「三十日記念式」の箇所は、「追悼ミサ」などとなります。
葬儀後に送る喪中はがきの文例
喪中はがきの文例は、次のとおりです。
喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます 本年9月に父 太郎が90歳にて永眠致しました 本年中に賜りましたご厚情に感謝致しますと共に 皆様に良き年が訪れますようお祈り申し上げます
喪中はがきは、できれば11月中、遅くとも12月初旬までには送るようにしましょう。
葬儀後に送る挨拶状のポイント
葬儀後に送る挨拶状は、次のポイントを踏まえて作成しましょう。
句読点は使用しない
挨拶状では、句読点を使用しないことがマナーであるとされています。
最近では、挨拶状で句読点を使用するケースも散見されます。しかし、弔事にまつわる挨拶状では伝統が重んじられることが多く、原則どおり句読点は使用しない方が良いでしょう。
なお、句読点を使用しない理由は諸説あるものの、次のような理由が挙げられます。
・挨拶状の歴史は句読点の歴史よりも長く、伝統的ではないため
・句読点は子どもが文章を読みやすくなるように使用され始めたものであり、正式な文書で句読点を使用することは相手を子ども扱いしていることになるため
・句読点が文章を区切るものであることから、「縁を切る」ことを連想させて縁起が良くないため
薄墨で記載する
葬儀後に送る挨拶状など弔事の挨拶状では、薄墨で記載することが通例とされています。これは、涙で墨が薄まるためです。
一方、忌明け後に送る香典返しなどの挨拶状は、薄墨でなくても構いません。ただし、地域や宗教によって異なる場合がありますので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
縦書きで記載する
挨拶状は、縦書きで記載しましょう。最近では、挨拶状を横書きで作成するケースも増えているものの、弔事にまつわる挨拶状を横書きとするケースは今もほとんど見られません。
宗教ごとの表現に注意する
葬儀後に送る挨拶状では、宗教ごとに異なる表現に注意しましょう。たとえば、「冥福」や「成仏」などは仏教独自の表現ですので、神式やキリスト式では使いません。
また、上の文例でも触れたとおり、「死」についてもそれぞれ異なる表現をします。
・神式:帰幽
・キリスト式(プロテスタント):召天
・キリスト式(カトリック):帰天
他にも、忌明けにあたる行事も、宗教によってさまざまです。そのため、挨拶状を作成する際には、故人の宗教を意識しつつ適切な表現を用いましょう。
忌み言葉に注意する
忌み言葉とは、縁起が悪いため避けるべきとされている表現です。弔事の場面では、次の言葉などが忌み言葉とされています。
・生死を直接的に表現する言葉:「死ぬ」「死んだ」「生きていたころ」など
・苦しみを表す言葉:「苦しむ」「四苦八苦」「四(「し」と読み「死」をイメージさせるため)」「九(「く」と読み「苦」をイメージさせるため)」
・不幸が続くことを連想させる言葉:「引き続き」「続けて」「重ね重ね」「重々」など
・生死を直接的に表現する言葉:「死ぬ」「死んだ」「生きていたころ」など
・苦しみを表す言葉:「苦しむ」「四苦八苦」「四(「し」と読み「死」をイメージさせるため)」「九(「く」と読み「苦」をイメージさせるため)」
・不幸が続くことを連想させる言葉:「引き続き」「続けて」「重ね重ね」「重々」など
また、仏式の場合においては、「迷う」や「浮かばれない」なども忌み言葉となります。なお、「四」や「九」は、「四十九日」などの行事名や日付として使用する分には問題ありません。
まとめ
葬儀後には、挨拶状を送るべき場面が多数発生します。失礼のないよう、それぞれ適切な時期に適切な内容の挨拶状を送付しましょう。
しかし、近しい相手が亡くなった際には気持ちも動転しているうえやるべきことも多く、挨拶状の文案を練る余裕がないという場合も少なくないのではないでしょうか?そのような際には、当サイト「挨拶状印刷.jp」のご利用がおすすめです。
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