
挨拶状を送る機会が減っているという人も、少なくないでしょう。しかし、納骨前後の挨拶状など、弔事の場面では今も挨拶状が多く活用されています。
では、納骨前後に送る挨拶状は、どのように作成すればよいのでしょうか?また、挨拶状を作成する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、納骨前後で送る挨拶状の基本を解説するとともに、シーンごとの例文も紹介します。
納骨前後の挨拶状とは
納骨前後に送る挨拶状は、その目的ごとに大きく2つに分類できます。はじめに、それぞれの概要を解説します。
- 納骨の案内をする挨拶状
- 家族のみでの納骨をする報告をする挨拶状
納骨の案内をする挨拶状
1つ目は、納骨式に参列してほしい相手に対して、納骨式の詳細を知らせる案内状です。この場合には、納骨式がいつ、どこで行われるかなど、参列にあたって必要な情報を漏れなく記載します。
家族のみでの納骨をする報告をする挨拶状
2つ目は、家族や近親者のみで納骨をすることや、すでに納骨したことを知らせる挨拶状です。
昨今、遺族が高齢であることや遠方に居住していることも多く、同居親族など非常に近しい者だけで納骨をすることも少なくありません。ただし、今後も良好な関係を維持したいのであれば無断で納骨を済ませることは避け、納骨前後に挨拶状での報告は行うべきでしょう。
納骨前後に送る挨拶状の例文
納骨前後に送る挨拶状は、どのように作成すればよいのでしょうか?ここでは、シーンごとの例文を紹介します。
納骨の案内をする挨拶状の例文
納骨への参列を希望する相手に対して納骨の案内をする挨拶状の例文を2つ紹介します。
納骨式を単体で行う場合
納骨式を単体で行う場合の例文は、次のとおりです。
謹啓 皆様にはお変わりもなくお過ごしの御事と拝察申し上げます
先般亡父 太郎 の葬儀に際しましてはご鄭重なるご厚意を賜り 誠に有り難く心より御礼申し上げます
さて このたび左記日程にて納骨法要を相営むこととなりました
つきましてはご多用中誠に恐縮ではございますが 何卒ご臨席賜りたくご案内申し上げます 謹 白
令和〇年〇月
記
日時:令和〇年〇月〇日(日) 午前〇時より
場所:〇〇寺(〇〇県〇〇市〇〇1-1-1、電話XXX-XXXX-XXXX)
尚 法要後に粗宴を用意させていただきます
誠に恐縮でございますが 〇月〇日までにご都合を返信用葉書にてご連絡くださいませ
納骨式の後には、会食の場を設けることも多いでしょう。その場合には食事の手配などが必要となるため、往復はがきを用いるなどして出欠の連絡をもらうようにするとスムーズでしょう。
四十九日法要と同日に納骨式を行う場合
納骨式は、四十九日法要や一周忌法要などと併せて行うことも少なくありません。ここでは、四十九日法要と同日に納骨式をする場合の案内状の例文を紹介します。
謹啓 皆様にはお変わりもなくお過ごしの御事と拝察申し上げます
先般亡父 太郎 の葬儀に際しましては御懇篤なる御弔慰ならびに御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く心より御礼申し上げます
さて このたび左記日程にて四十九日法要および納骨式を相営むこととなりました
つきましてはご多用中誠に恐縮ではございますが 何卒ご臨席賜りたくご案内申し上げます 謹 言
令和〇年〇月
記
日時:令和〇年〇月〇日(日) 午前〇時より
場所:〇〇寺(〇〇県〇〇市〇〇1-1-1、電話XXX-XXXX-XXXX)
尚 法要後に粗宴を用意させていただきます
お手数ではございますが 〇月〇日までに返信用葉書にてご都合をお知らせくださいますようお願い申し上げます
本文には、四十九日法要と併せて納骨式を営む旨を明記しましょう。
家族のみで納骨をする旨を事前に知らせる挨拶状の例文
家族など近親者だけで納骨をする場合、親族にその旨を事前に報告するとよいでしょう。この場合における挨拶状の例文は、次のとおりです。
謹啓 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと拝察申し上げます
さて このたび 亡父 太郎の納骨式を執り行うことと相成りました
本来であれば皆様に御臨席をお願いすべきところではございますが 故人の遺志により家族だけで執り行わせて頂きたく存じます
皆様には お近くにお立ち寄りの際にお参り頂ければ幸甚でございます
甚だ勝手ではございますが 何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます
故人が生前に賜りました御厚情に深く感謝いたしますとともに 略儀ながら書中にてご報告とご挨拶を申し上げます 謹 白
家族のみで納骨をすることを明記しましょう。なお、納骨を家族のみで執り行う際は事前の連絡は電話やメールなどで行い、事後に挨拶状を送る場合もあります。
納骨をしたことを後から報告する挨拶状の例文
納骨を済ませた後でその旨を報告する挨拶状の例文を、2つ紹介します。
親族宛の例文
親族宛に送る挨拶状の例文は、次のとおりです。
謹啓 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと拝察申し上げます
亡父 太郎の葬儀に際しましては御懇篤なる御弔慰ならびに御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く心より御礼申し上げます
さて このたび〇月〇日に亡父 太郎の納骨式を執り行いましたことをご報告申し上げます
本来であれば皆様に御臨席をお願いすべきところ 誠に勝手ながら故人の生前の遺志により家族のみにて執り行わせていただきました
下記にて永眠しておりますので お近くにお寄りの際にはお参りいただければ幸いでございます
甚だ略儀ではございますが 皆様のご健勝を祈念して納骨の報告とさせていただきます 謹 白
記
〇〇霊園(住所:〇〇県〇〇市1-1-1)
開園時間:〇時~〇時
家族のみで納骨を済ませたことを報告するとともに、お墓の場所などを記載します。
親しい友人などへの例文
故人が親しくしていた友人などに送る挨拶状の例文は、次のとおりです。
謹啓 皆様にはご清祥にお過ごしの御事とお喜び申し上げます
亡父 太郎の葬儀に際しましては御懇篤なる御弔慰ならびに御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く心より御礼申し上げます
さて このたび〇月〇日 亡父 太郎の納骨式を近親者のみにて執り行いましたことをご報告申し上げます
下記にて永眠しておりますので お近くにお寄りの際にはお参りいただければ幸いでございます
生前に賜りました御厚情に深く感謝いたしますとともに皆様のご健勝を祈念して 納骨の報告とさせていただきます 謹 白
記
〇〇霊園(住所:〇〇県〇〇市1-1-1)
開園時間:〇時~〇時
友人宛に送る場合も、納骨場所が分かるよう明記しましょう。
納骨の後に送る挨拶状の主な記載事項
納骨前後に送る挨拶状では、何を記載すればよいのでしょうか?先ほど紹介した例文を参照しつつ、納骨後に送る挨拶状への主な記載事項を解説します。
葬儀のお礼
納骨後に送る挨拶状には、葬儀のお礼を記載することが通例です。たとえば「亡父 太郎の葬儀に際しましては御懇篤なる御弔慰ならびに御鄭重なる御厚志を賜り 誠に有り難く心より御礼申し上げます」などがこれに該当します。
なお、「御懇篤(ごこんとく)なる御弔慰(ごちょうい)」とは「丁寧で心のこもった弔いの言葉」であり、葬儀に参列してくれたことや遺族にお悔やみの言葉をかけてくれたこと、弔電を送ってくれたことなどを意味します。また、「御鄭重(ごていちょう)なる御厚志(ごこうし)」は「丁寧な心遣い」を指し、一般的には「香典や供物をくださったこと」を意味します。
つまり、この一文を平たく言い換えると、「父太郎の葬儀の際は、丁寧なお悔やみの言葉やご香典をくださり、ありがとうございました」ということです。弔事の場面で送る挨拶状ではしばしば用いられる表現であるため、覚えておくとよいでしょう。
納骨の報告
挨拶状では、家族や近親者のみで納骨を済ませたことを丁寧に報告しましょう。
なお、相手方が「なぜ自分を呼んでくれなかったのか」と不満を抱える可能性があります。後のトラブルを避けるため、可能な限り事前に事情を説明したうえで、納骨後に送る挨拶状でも「故人の遺志により」など理由を記載するとよいでしょう。
お墓の場所
納骨後に送る挨拶状では、相手方がスムーズにお墓参りができるよう、お墓がある場所の名称や住所を記載しましょう。また、霊園によってはお参りできる時間が決まっていることがあります。その場合には、開園時間も記載しておくと親切です。
納骨前後に送る挨拶状の作成ポイント
納骨前後に送る挨拶状は、どのような点に注意して作成すればよいのでしょうか?ここでは、主なポイントを6つ解説します。
- 句読点を使わない
- 縦書きで作成する
- 頭語と結語はセットで使用する
- 忌み言葉を使わない
- 宗教ごとの異なる表現に注意する
- 誤字脱字に注意する
句読点を使わない
納骨前後で送る挨拶状では、句読点を使用しないことが基本です。これは、句読点の歴史は挨拶状の歴史より浅く、句読点の使用が挨拶状には馴染まないためと考えられています。
近年ではカジュアルなシーンで送る挨拶状を中心に句読点が使われるケースも増えてきました。しかし、納骨など弔事にまつわる挨拶状で句読点を使用することは、今も一般的ではありません。
縦書きで作成する
納骨前後で送る挨拶状は、縦書きで作成することが一般的です。伝統的な挨拶状は縦書きで作成するものであり、特に弔事のシーンでは今も縦書きが基本とされています。
頭語と結語はセットで使用する
頭語とは、挨拶状の初めに記載する「拝啓」や「謹啓」などの表現です。納骨前後の挨拶状は、「拝啓」と「謹啓」のいずれを用いても構いません。ただし、「謹啓」のほうが、よりかしこまった印象となります。
一方、結語とは本文の最後に記載する「敬具」や「謹白」などの文言を指します。
この頭語と結語はセットで使用するものであり、使用した頭語によって適切な結語は異なります。一般的な組み合わせは、それぞれ次のとおりです。
頭語 | 結語 |
---|---|
拝啓 | 敬具・敬白など |
謹啓 | 謹白・謹言など |
たとえば、頭語が「拝啓」であるにもかかわらず結語が「謹言」などではちぐはぐな印象となってしまうため、組み合わせに注意してください。
忌み言葉を使わない
忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起が悪いと考えられ、避けられる表現です。納骨など弔事の場面では、次の表現が忌み言葉と考えられています。
- 不幸が続くことを連想させる言葉:「重ねて」「続けて」「繰り返し」など
- 同じ表現を続ける言葉(不幸が続くことを連想させるため):「重ね重ね」「続々」「重々」など
- 生死を直接的に表す言葉:「死ぬ」「死んだ」「生きる」など
これらの表現は、可能な限り避けた方がよいでしょう。
宗教ごとの異なる表現に注意する
納骨など弔事の場面では、宗教的な表現に注意しなければなりません。
たとえば、「供養」や「成仏」、「法要」などの表現は仏教独自の用語です。神式やキリスト教式であるにもかかわらず、挨拶状でこのような表現を用いることは避けるべきでしょう。
とはいえ、宗教ごとの表現は、日ごろから宗教に馴染みがなければ誤りに気付けないかもしれません。また、宗派などによって適切な表現が異なる場合もあります。不安がある場合には、親族や納骨先の僧侶などへ確認することをおすすめします。
誤字脱字に注意する
納骨前後の挨拶状に限ったことではないものの、挨拶状を送る際は誤字脱字に注意しましょう。せっかく挨拶状を作成しても、誤字や脱字があれば間の抜けた印象となってしまいます。
特に、宛名の誤りには注意が必要です。相手の氏名などを誤ることは失礼にあたり、関係に亀裂が生じるおそれもあるためです。
まとめ
納骨前後に送る挨拶状の基本を解説するとともに、シーンごとの例文を紹介しました。
納骨前後の挨拶状としては、納骨の案内状や家族だけで納骨をすることを知らせる挨拶状、無事に納骨を済ませたことを知らせるお礼状などが挙げられます。納骨に関する挨拶状を送る際は失礼のないよう、記載すべき内容や避けるべき表現などを理解しておきましょう。
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