定年を迎えて退職することになった際に、これまでお世話になった人に対して挨拶状を送ることがあります。退職の際に丁寧な挨拶状を送っておくことで相手への敬意が伝わるほか、今後も良好な関係を築ける可能性が高まるでしょう。
では、定年退職の挨拶状は、どのように作成すれば良いのでしょうか?今回は、定年退職の挨拶状を女性が送る場合の文例を紹介するとともに、挨拶状を送る際の注意点などについて解説します。
定年退職の挨拶状とは
定年退職の挨拶状とは、これまでお世話になった相手に定年退職を報告するとともに、これまでのお礼を伝える書状です。
定年退職の挨拶状は、必ず送らなければならないものではありません。中には、挨拶をメールなどで済ませる場合もあるでしょう。
しかし、あえてひと手間をかけて挨拶状を送ることで、相手への敬意が伝わりやすくなります。また、退職を機に縁が切れてしまうことも少なくありませんが、挨拶状を送っておくことで今後も良好な関係を築きやすくなるでしょう。
定年退職の挨拶状はいつ送る?
定年退職の挨拶状は、遅くとも退職後3ヶ月以内に送ることが基本です。退職後あまり時間が空いてしまうことのないよう、退職後すみやかに手配を進めることをおすすめします。
なお、定年退職の挨拶状を、退職日の前に送ることもあります。
ただし、職種などによってはあまり早くから退職する旨を外部に伝えることが望ましくない場合もあるでしょう。そのため、退職前に挨拶状を送る際には、上司などへ相談のうえタイミングを検討することをおすすめします。
定年退職の挨拶状は誰に送る?
定年退職の挨拶状を送る相手に、明確な決まりがあるわけではありません。社内・社外を問わず、これまでお世話になった相手や、今後も親交を持ちたい相手などに送ると良いでしょう。
定年退職の挨拶状は「男性」「女性」で違いはある?
定年退職の挨拶状に、男性と女性とで違いはあるのでしょうか?
最近では「男性らしさ」や「女性らしさ」も多様化しているため、書き手にとって違和感がないのであれば、男性と同じような文面であっても差し支えないでしょう。ただし、挨拶状の伝統的な考えでいえば、女性が送る挨拶状では、いわゆる「女性らしい」表現が好ましいとされています。
たとえば、時候の挨拶を「早春の候」とするよりは「早春のみぎり」や「春まだ浅い季節ですが」などとした方が、女性らしいやわらかな印象となり、好ましいといえるでしょう。
この記事においては、これ以降、伝統的な「女性らしさ」を前提として記載します。
定年退職の挨拶状の基本構成
挨拶状にはある程度決まった「型」があり、これに沿って作成していくとスムーズです。文例を紹介する前に、まずは定年退職の挨拶状の基本構成を確認しておきましょう。
・頭語
・時候の挨拶
・安否の挨拶
・本文
・結びの挨拶
・結語
頭語
挨拶状は原則として、頭語から書き始めます。定年退職を知らせる挨拶状では、「拝啓」または「謹啓」を使用することが一般的でしょう。
基本的には「拝啓」を使用すれば問題なく、目上の相手に送る場合やよりかしこまった印象を与えたい場合などに、「謹啓」を使用します。
時候の挨拶
頭語に続けて、時候の挨拶を記載します。
時候の挨拶とは、「初秋の候」や「早春のみぎり」など、挨拶状に季節感を添える表現です。このうち、「〇〇のみぎり」という表現のほうがやややわらかく、女性らしい印象となります。
挨拶状を送る時期によって使用できる季語が異なりますので、季節に沿った表現をすると良いでしょう。
なお、季節を問わずに使える表現に「時下」があります。「時下」を使用したからといって失礼ということではありませんが、やや形式的な印象を与えることは否めないでしょう。
安否の挨拶
時候の挨拶に続けて、安否の挨拶を記載します。安否の挨拶とは、次のような表現です。
・企業宛の場合:「貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」、「貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます」など
・個人宛の場合:「〇〇様におかれましてはますますご健勝にお過ごしのこととお慶び申し上げます」や、「皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」など
本文
次に、本文を記載します。挨拶状の本文は、伝えたい内容を簡潔かつ丁寧に記載しましょう。
定年退職の挨拶状では、次の内容を記載することが一般的です。
1. 定年退職をした旨
2. これまでお世話になったお礼
3. 今後の抱負
4. 今後も引き続きお付き合いいただきたい旨
他に、記念品を受け取った場合にはそのお礼を記載したり、後任を紹介する内容を記載したりすることもあります。いずれであっても、定年退職の挨拶状ではあまりネガティブな内容は記載せず、前向きな内容で記載することが基本です。
結びの挨拶
本文の最後に、結びの挨拶を記載します。下で紹介をする例文のように、相手の健康や幸せを願う内容とすると良いでしょう。
結語
最後に、結語で締めます。結語は頭語に対応するもので、使用する結語は使用をした頭語によって次のように決まります。
- 頭語が「拝啓」の場合:「敬具」など
- 頭語が「謹啓」の場合:「謹白」など
なお、送り手が女性の場合には、結語に「かしこ」を使用することができます。
女性向け定年退職の挨拶状例文
ここでは、女性が活用できる定年退職の挨拶状の例文3つ紹介します。それぞれ、状況によって使い分けると良いでしょう。
例文1:一般的な内容
一般的な定年退職の挨拶状の文例は、次のとおりです。
拝啓 陽春のみぎり 皆様にはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび3月31日をもちまして 株式会社挨拶を定年退職いたしました 在職中は公私にわたり温かいご指導とご厚情を賜りましたこと ここに謹んでお礼申し上げます これからは皆様より頂きました数々のご教示を大切に 第二の人生を楽しんでまいる所存です 長年のご厚情に深謝するとともに 今後も相変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます 皆様方のご健康とご多幸を心からお祈り申し上げ お礼のご挨拶とさせて頂きます かしこ 令和5年4月吉日
定年退職の挨拶状では、これまで相手から受けた指導やお付き合いに感謝するとともに、簡単に今後の前向きな抱負を記載します。
今後の抱負としては、他に次のような内容が考えられます。こちらはあまり形式にとらわれず、自身の想いを記載すると良いでしょう。
・今後はしばらく休養し 第二の人生を楽しむ計画を立てようと思います
・今後は山登りの趣味をいっそう楽しんでまいる所存です
・今後は家族や友人との時間を大切に ゆっくりと過ごしてまいるつもりです
・今後は健康を心がけ 有意義な時間を過ごしてまいりたいと考えております
・これからはボランティア活動に参加するなど 社会奉仕をしてまいる所存です
例文2:後任を紹介する内容
定年退職の挨拶状で、後任を紹介する場合の例文は次のとおりです。
拝啓 陽春のみぎり 皆様にはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび3月31日をもちまして 株式会社挨拶を定年退職いたしました 在職中は公私にわたり温かいご指導とご厚情を賜りましたこと ここに謹んでお礼申し上げます 退社後は後任の 印刷花子 が引き続きご担当させていただきます まだまだ未熟で不行き届きの点も多々あるかと存じますが なにとぞ倍旧のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます 末筆ではございますが皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げますとともに 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます かしこ 令和5年4月吉日
後任を紹介するとともに、後任を指導してもらうようお願いする内容とすると良いでしょう。
例文3:記念品のお礼を兼ねる内容
退職の記念品をもらった場合に、そのお礼を兼ねた内容の例文は次のとおりです。
拝啓 陽春のみぎり 皆様にはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび3月31日をもちまして 株式会社挨拶を定年退職いたしました 在職中は公私にわたり温かいご指導とご厚情を賜り誠にありがとうございました また 退職に際しましてはご丁寧なお心遣いを賜り ご芳情のほど厚く御礼申し上げます これからは趣味などを楽しみつつ 家族や友人との親交をより大切にしてまいるつもりです 長年のご厚情に深謝するとともに 今後も相変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます 末筆ではございますが皆様方のご健康とご多幸を心からお祈り申し上げ お礼のご挨拶とさせて頂きます かしこ 令和5年4月吉日
文例は一般的なお礼を記載していますが、記念品として頂いたものについて具体的に言及しても良いでしょう。
たとえば、お花を受け取った場合には「素敵なお花をいただきありがとうございました さっそくリビングに飾らせていただいており 家が華やかになって嬉しいです」などです。
定年退職の挨拶状を送る際の注意点
定年退職の挨拶状を送る際には、次の点に注意しましょう。
・誤字脱字に注意する
・適切なタイミングで送付する
・会社や同僚などの悪口は書かない
・適切な敬称を使用する
・「さて私こと」は端に寄せる
誤字脱字に注意する
挨拶状を送る際には、誤字脱字をしないよう注意しましょう。特に、相手の氏名や社名、役職などの誤りは大変失礼にあたるため、よく確認することをおすすめします。
また、もし誤字脱字を見つけてしまったら、新たな用紙で作成し直すようにしましょう。二重線や修正テープなどで訂正した状態の挨拶状を送ることはマナー違反です。
適切なタイミングで送付する
定年退職の挨拶状は、遅くとも退職後3か月以内には相手に届くように送ります。適切な時期に送ることができるよう、あらかじめ準備をしておくと良いでしょう。
なお、たとえ3ヶ月を過ぎてしまっても、感謝の想いなどを伝えたい相手には、挨拶状を送ることをおすすめします。その際には、送付が遅れたことへのお詫びや遅れた事情などを、簡潔に記載すると良いでしょう。
たとえば、「ご挨拶が遅れまして大変申し訳ございません 退職後に株式会社〇〇に再就職を致しまして ようやく新たな職場にも慣れたところです」などです。
会社や同僚などの悪口は書かない
中には退職をした会社や元同僚などに、不満がある場合などもあるかと思います。そのような場合であっても、退職の挨拶状に不満や悪口などを書くことは適切ではありません。
退職の挨拶状は、これまでお世話になった気持などを相手に対して伝えるものです。また、特にハガキで送った場合には、他者の目に触れる可能性もあるでしょう。
挨拶状はあくまでも一般的な内容にとどめ、親しい相手に愚痴などを聞いて欲しいのであれば、別の機会に話すようにした方が良いでしょう。
適切な敬称を使用する
挨拶状を送る際には、適切な敬称を使用してください。挨拶状で使用する敬称は、主に次の3つです。
様:個人につける一般的な敬称です。「挨拶花子様」など一般個人宛の場合に使用するほか、「株式会社挨拶 代表取締役 挨拶花子様」などのように企業内の特定の相手に宛てる場合にも「様」を使用します。
御中:団体につける敬称です。「株式会社挨拶御中」や「株式会社挨拶 総務部御中」などのように使用します。
先生:恩師や医師、弁護士などである個人につける敬称です。「弁護士 挨拶太郎先生」や、「〇〇学校 印刷一子先生」などのように使用します。
例文の中で、「さて私こと」が右のほうに寄っています。これは、当サイトのレイアウトが崩れているのではなく、あえて右に寄せています。
挨拶状において「さて私こと」や、同じ意味合いの「さて私儀」という表現は、端(横書きであれば右側、縦書きであれば下側)に寄せるのが基本とされています。これは、「私ごとで恐縮ですが」と、へりくだっているさまを表現しているためです。
まとめ
定年退職の挨拶状のうち、女性向けの文案を紹介しました。定年退職をする際にはお世話になった人へのお礼を伝えるため、ぜひ挨拶状を活用することをおすすめします。
しかし、退職前後は何かとやるべきことも多く、挨拶状の文案を一から練る時間が取れないことも少なくないでしょう。そのような際には、当サイト「挨拶状印刷.jp」を活用してください。
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