最近ではEメールやSNSなどが発達しているため、挨拶状を送る機会は減っているかもしれません。しかし、現代においても弔事にまつわる場面では挨拶状が広く活用されています。
特に、故人が生前お世話になっていた相手などに死亡を知らせる場面では、挨拶状を送ることが多いでしょう。今回は、亡くなったことを知らせる挨拶状である「死亡通知」について例文を紹介するとともに、作成する際のポイントなどをくわしく解説します。
死亡を知らせる挨拶状の2パターン
死亡を知らせる挨拶状には、主に次の2つのパターンがあります。それぞれの概要は、次のとおりです。
・葬儀の案内を兼ねて死亡を伝えるもの
・葬儀後に死亡を伝えるもの
葬儀の案内を兼ねて死亡を伝えるもの
1つ目は、葬儀の案内を兼ねて故人の死亡を伝えるものです。誰がいつ亡くなったのかという情報と、葬儀告別式の日時や場所などの参列するために必要な情報、差出人である喪主の連絡先などを明記します。
こちらは、葬儀に間に合うよう、日時が決まったら速やかに作成しましょう。葬儀社の側で作成してくれることも少なくありません。
こちらの挨拶状は、原則として、葬儀に参列して欲しい相手に渡します。家族葬を予定しているにも関わらず広く挨拶状を送ってしまえば、挨拶状を受け取った多くの人が思いがけず葬儀に訪れて対応に追われることにもなりかねません。
なお、郵送をしていては時間を要してしまい、葬儀に間に合わない可能性もあるでしょう。そのため、連絡先が分かっている相手には別途電話などでお知らせをしたり、手渡しやFAX、メール添付などで送ったりすることも一つの手です。
葬儀後に死亡を伝えるもの
もう1つは、葬儀を終えてから、故人の死亡を伝えるものです。
最近では家族葬の形態で葬儀を営むケースも多く、一部の近しい親族以外にはこの方法で訃報を伝える場合も少なくないでしょう。
この場合には、誰がいつ亡くなったのかという情報のほか、すでに葬儀を終えた旨と通知が遅くなったことのお詫びなどを明記します。
葬儀の案内と兼ねて死亡を知らせる挨拶状の例文
ここでは、葬儀の案内と兼ねて死亡を伝える挨拶状の例文を、パターン別に4つ紹介します。
一般的な内容
葬儀の案内と兼ねて訃報を知らせる挨拶状の基本的な例文は、次のとおりです。
父 太郎儀 去る〇月〇日 〇歳にて永眠いたしました 生前のご厚誼に感謝申し上げますとともに 謹んでご通知申し上げます なお 葬儀告別式は仏式にて 左記の通り執り行います 記 一、日時 通夜式 〇月〇日 午後〇時から 葬儀告別式 〇月〇日 午前〇時から 一、式場 〇〇ホール(東京都〇〇区〇〇1丁目1番地) 電話 03-XXXX-XXXX 一、喪主 挨拶 一郎(長男) 電話 090-XXXX-XXXX
この場合には、例文のように、必要な事項をシンプルに伝える内容としましょう。記載すべき事項は、いつ、誰が亡くなったのかという情報のほか、喪主の氏名と連絡先、葬儀などに参列するために必要な情報です。
なお、死亡通知は早急に送るものであることから、通常の挨拶状で用いられる「拝啓」などの頭語や頭語とセットで使用される「敬具」などの結語は、記載しないことが通例とされています。
また、「早春の候」など時候の挨拶も記載せず、いきなり本文から書き始めて差し支えありません。
病気療養中の死亡を伝える内容
故人が病気療養中に亡くなったことを伝える場合における挨拶状の例文は、次のとおりです。
父 太郎儀 かねてより病気療養中でございましたが 去る〇月〇日に永眠いたしました 生前のご厚誼に感謝申し上げますとともに 謹んでご通知申し上げます なお 葬儀告別式は仏式にて 左記の通り執り行います 記 一、日時 通夜式 〇月〇日 午後〇時から 葬儀告別式 〇月〇日 午前〇時から 一、式場 〇〇ホール(東京都〇〇区〇〇1丁目1番地) 電話 03-XXXX-XXXX 一、喪主 挨拶 一郎(長男) 電話 090-XXXX-XXXX
なお、病気療養中で亡くなった場合であっても、亡くなるまでの過程や病名などまでを詳細に記す必要はありません。
香典や供物を辞退する内容
香典や供花などを頂いてしまえば参列者にとって負担となる可能性があるほか、後に香典返しなどが必要となります。そのため、さまざまな事情から、香典などを辞退する場合も少なくありません。
香典や供花、供物を辞退する場合の文例は、次のとおりです。
父 太郎儀 かねてより病気療養中でございましたが 去る〇月〇日に永眠いたしました 生前のご厚誼に感謝申し上げますとともに 謹んでご通知申し上げます なお 葬儀告別式は仏式にて 左記の通り執り行います 記 一、日時 通夜式 〇月〇日 午後〇時から 葬儀告別式 〇月〇日 午前〇時から 一、式場 〇〇ホール(東京都〇〇区〇〇1丁目1番地) 電話 03-XXXX-XXXX 一、喪主 挨拶 一郎(長男) 電話 090-XXXX-XXXX 尚 誠に勝手ながら御香典 御供花 御供物の儀は固くご辞退申し上げます
また、「誠に勝手ながら故人の遺志により御香典 御供花 御供物の儀は固くご辞退申し上げます」など、故人の遺志によるものであることを明記しても構いません。
なお、たとえ実際には香典返しの手間をかけたくないことが理由であったとしても、そのような内容は記載しない方が良いでしょう。
社葬の場合の内容
企業の重役についていた人など企業の発展に大きな貢献をした人が亡くなった場合などには、社葬が営まれる場合があります。社葬とは、会社が運営主体となる葬儀のことです。
社葬の場合において、死亡と葬儀について知らせる挨拶状の例文は、次のとおりです。
弊社代表取締役会長 挨拶太郎儀 去る〇月〇日に永眠いたしました ここに生前の御厚誼を深謝し謹んで御通知申し上げます 葬儀及び告別式は社葬をもって下記の通り執り行います 記 一、日 時 葬儀・告別式 〇月〇日 午前〇時より 一、式 場 〇〇ホール(東京都〇〇区〇〇1丁目1番地) 電話 03-XXXX-XXXX 一、葬儀委員長 株式会社挨拶 代表取締役 印刷二郎 一、喪 主 挨拶 一郎(長男) 一、問い合せ先 株式会社挨拶 総務部 電話 03-XXXX-XXXX 尚 誠に勝手ながら御香典 御供花 御供物の儀は固くご辞退申し上げます
社葬の場合には、その旨を明記します。
また、社葬の場合には遺族である喪主のほかに会社の重役などが葬儀委員長を定めることが多く、この場合には葬儀委員長の氏名についても記載しましょう。
葬儀を終えてから死亡を知らせる挨拶状の例文
家族葬などで葬儀を終えてから死亡を知らせる挨拶状の例文は、それぞれ次のとおりです。ここでは、4つのケースの例文を紹介します。
一般的な内容
葬儀後に死亡を知らせる挨拶状の、一般的な例文は次のとおりです。
父 太郎儀 去る〇月〇日 〇歳にて永眠いたしました 本来ならば早速お知らせ申し上げるべきところ ご通知が遅れました事を深くお詫び申し上げます なお葬儀は〇月〇日近親者のみにて執り行いました ここに生前の御厚誼を深謝し謹んで御通知申し上げます
いつ、誰が亡くなったかを明記するとともに、すでに葬儀を終えた旨と通知が遅れた旨のお詫びを簡潔に記載しましょう。こちらの場合も、葬儀の案内と兼ねる場合と同様に、頭語や結語、時候の挨拶は必要ありません。
なお、死亡通知を送った場合には、受け取った相手から香典などが送られることもあります。香典を辞退したい場合には、挨拶状に「なお御香典につきましては故人の遺志により謹んでご辞退申し上げます」などと添えておくと良いでしょう。
病気療養中の死亡を伝える内容
病気療養中であったことを添え、葬儀の後で死亡を伝える場合における挨拶状の例文は、次のとおりです。
父 太郎儀 かねてより病気療養中でございましたが 去る〇月〇日〇歳にて永眠いたしました 本来ならば早速お知らせ申し上げるべきところ ご通知が遅れました事を深くお詫び申し上げます なお 葬儀は〇月〇日近親者のみにて執り行いました ここに生前の御厚誼を深謝し謹んで御通知申し上げます
こちらの場合も、病名などまでをくわしく記載する必要はありません。
故人の遺志により家族葬としたという内容
家族葬としたことを、故人の遺志によるものと明記する場合の例文は、次のとおりです。
父 太郎儀 かねてより病気療養中でございましたが 去る〇月〇日〇歳にて永眠いたしました 本来ならば早速お知らせ申し上げるべきところでございましたが ご通知が遅れました事を深くお詫び申し上げます なお 葬儀は故人の遺志により〇月〇日に家族葬にて相済ませました ここに生前の御厚誼を深謝し謹んで御通知申し上げます
家族葬とした場合には、葬儀に参列したかったとの苦言を呈され、なぜ家族葬にしたのかなどと問われる可能性があります。そのため、故人の遺志で家族葬とした場合には、その旨を明記しておくと良いでしょう。
昨今の情勢を鑑みて家族葬としたという内容
家族葬が、新型コロナ禍である昨今の情勢に配慮したものであることを明記する場合における挨拶状の例文は、次のとおりです。
父 太郎儀 かねてより病気療養中でございましたが 去る〇月〇日〇歳にて永眠いたしました 本来ならば早速お知らせ申し上げるべきところでございましたが ご通知が遅れました事を深くお詫び申し上げます なお 葬儀は昨今の情勢を鑑みて 〇月〇日に家族葬にて相済ませました ここに生前の御厚誼を深謝し謹んで御通知申し上げます
なお、「新型コロナ禍である昨今の情勢を鑑みて」など、より具体的に記載をしても構いません。
死亡を知らせる挨拶状を作成するポイント
死亡を知らせる挨拶状を作成する際には、次の点に注意しましょう。
・適切な時期に送付する
・句読点は使用しない
・縦書きで作成する
・忌み言葉を使用しない
適切な時期に送付する
挨拶状は、適切な時期に送付することが重要です。それぞれ、次のタイミングで送付しましょう。
- 葬儀の案内と兼ねた死亡通知:葬儀に間に合うよう速やかに行う
- 葬儀を済ませてから送る死亡通知:初七日頃までが理想だが、四十九日までを目安とすることもある
句読点は使用しない
死亡を知らせる挨拶状など弔事の場面で送る挨拶状では、句読点を使用しないことが通例とされています。句読点の代わりにスペースや改行をうまく活用して、文面を作成しましょう。
縦書きで作成する
正式な挨拶状は、縦書きで作成することとされています。
最近では、比較的カジュアルな場面で送る挨拶状を中心に、横書きで挨拶状を作成することもさほど珍しくありません。しかし、弔事の場面で送る挨拶状を横書きとする場面は、今もほとんど見かけません。
そのため、原則どおり縦書きで作成すると良いでしょう。
忌み言葉を使用しない
忌み言葉とは、その場面においてあまり縁起が良くないことから、避けるべきとされる表現です。死亡を知らせる挨拶状など弔事にまつわる場面では、一般的に、次の言葉が忌み言葉とされています。
- 不幸が重なることを連想させる言葉:「続けて」「次に」「重ね重ね」「重々」「次々」など
- 生死を直接表す言葉:「死んだ」「生きていたころ」など
また、仏教の場合には、「浮かばれない」や「迷う」も忌み言葉に該当します。そのため、これらの表現は使用しないように注意しましょう。
まとめ
死亡を知らせる挨拶状の例文を、ケース別に紹介しました。死亡を知らせる挨拶状は速やかに手配し、挨拶状の内容に合わせた時期に送付することが必要です。
しかし、身内が亡くなった後は葬儀の手配などやるべきことが多いうえ、悲しみにも暮れていることでしょう。そのような中で、挨拶状の手配までを行うことは容易ではありません。
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