挨拶状の勘定科目

挨拶状とは、年賀状など季節の挨拶を伝えたり社長交代など会社の状況の変化を相手に伝えたりする書状です。電話やEメールなど便利な通信手段は数多く存在しますが、相手への敬意を伝えるため、ビジネスシーンにおいては今も挨拶状が広く活用されています。

では、会社から挨拶状を発送する場合、勘定科目はどのようになるのでしょうか?今回は、挨拶状を送る際の仕訳を解説するとともに、会社から挨拶状を送る主なシーンを紹介します。

挨拶状を会社から送る際の勘定科目

会社から取引先などに対して挨拶状を送る場合には、挨拶状の印刷を代行する事業者へ支払う費用や送付に要する切手の購入費用がかかります。

では、これらの費用は勘定科目で仕訳を切れば良いのでしょうか?基本の考え方は、次のとおりです。

なお、複数年にわたる勘定科目の推移を確認する観点から、年によって計上する勘定科目を変えることは望ましくありません。そのため、その企業で過去にも挨拶状を発送しているのであれば、基本的には以前までの仕訳を踏襲すると良いでしょう。

「通信費」が基本

挨拶状の印刷や発送に要した費用の勘定科目は、「通信費」とすることが一般的でしょう。通信費とは電話代や切手代などを計上する勘定科目であり、挨拶状の送付にかかる費用もこれに該当すると考えられるためです。

広告目的なら「広告宣伝費」のケースもある

挨拶状の送付が広告目的である場合には、「広告宣伝費」で仕訳を切る場合もあります。たとえば、自社の広告を大きく掲載して、顧客や見込み顧客等に対して暑中見舞いを送る場合などです。

「交際費」ではない

挨拶状の印刷費用や発送費用を、交際費に計上することは一般的ではありません。

交際費とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」を指しますが、挨拶状はこれに該当しないと考えられるためです。

参照元:交際費等の範囲と損金不算入額の計算(国税庁)

なお、通信費や広告宣伝費は原則として損金に算入することができるため、いずれであっても法人税の額などは変わりません。

一方、交際費は原則として損金不算入(資本金等の額が1億円以下の場合には一部が損金不算入)です。誤って交際費に算入すれば法人税などを納めすぎてしまう可能性がありますので、交際費には計上しないよう注意しましょう。

会社から挨拶状を送る主なシーン:変更を知らせる挨拶状

会社から挨拶状を送るシーンは、何らかの変更を知らせる場面が多いでしょう。会社から送る主な挨拶状は、次のとおりです。

会社設立

会社設立の挨拶状とは、会社を設立したことをお世話になっている相手などに知らせる挨拶状です。会社設立の挨拶状は、営業を開始する日の1週間前から2週間前頃までには届くように送ると良いでしょう。

社長交代

社長交代の挨拶状とは、企業の社長が交代したことを、新社長名義で取引先などに知らせる挨拶状です。社長交代の挨拶状は、新社長の就任後おおむね1週間以内に発送しましょう。

なお、たとえ交代がほぼ確約されていても、正式な交代前に挨拶状を送ることは適切ではありません。

役員改選

役員改選の挨拶状とは、企業の役員が変わったことを取引先などに知らせる挨拶状です。役員改選の挨拶状は、改選後おおむね1週間以内に発送しましょう。

こちらも、正式な改選前に発送することは一般的ではありません。

社名変更

社名変更の挨拶状とは、会社名が変わったことを取引先などに知らせる挨拶状です。社名変更の挨拶状は、変更が適用される日のおおむね1ヶ月前頃までには送ることが望ましいでしょう。

挨拶状の送付が遅れてしまえば、いったん作成した請求書などをつくり直すなど、取引先に手間が生じてしまう可能性が高くなるためです。

本社移転

本社移転の挨拶状とは、本社の所在地が変わることを取引先などに知らせる挨拶状です。本社移転の挨拶状は、移転の1か月前から2週間前頃までには送りましょう。

挨拶状の送付が遅れてしまえば、移転後に相手が移転前の本社を訪れてしまったり移転前の本社に書類を郵送してしまったりして、トラブルとなる可能性があります。

支店開設

支店開設の挨拶状とは、新たに支店を設けたことを取引先などに知らせる挨拶状です。支店開設の挨拶状は、支店開設の1週間から2週間前頃までには届くように発送すると良いでしょう。

周年記念

周年記念の挨拶状とは、会社の節目にあたる年に記念のイベントを開催するにあたって、取引先などを招待する挨拶状です。

相手に参加・不参加を問う場合には、開催の1か月前までには送付しましょう。ギリギリに送ってしまえば、相手がすでに予定を入れてしまっており、参加への調整が難しくなる可能性があります。

合併・業務提携

合併や業務提携の挨拶状とは、自社が合併や業務提携をしたことを、取引先などに知らせる挨拶状です。

変更が決まったら、できるだけ早期に発送しましょう。ただし、早期に公表をすることが憚られる場合には、公表できるようになったタイミングで発送すれば差し支えありません。

会社から挨拶状を送る主なシーン:その他の挨拶状

変更を知らせるもののほか、会社から送る挨拶状には、次のものなどが存在します。

年賀状

年賀状は、相手に年始の挨拶をする挨拶状です。1月1日から1月7日までの間に届くように送りましょう。

なお、発送者である個人が喪中である場合には、年賀状の発送は控えるべきとされています。一方、企業には喪中はありませんので、たとえば代表者の親などが前年に亡くなった場合であっても年賀状を送って差し支えありません。

ただし、同族経営の企業でその会社の顔でもあった代表者本人などが亡くなった場合には、喪中と考えて年始の挨拶を控える場合もあります。

寒中見舞い

寒中見舞いとは、1月8日から立春までの間に送る挨拶状です。立春の日は年によって異なりますが、2月3日や2月4日頃となります。

年賀状を送っていない相手から年賀状を受け取った場合などにおいて、1月7日までに間に合わない場合には、寒中見舞いを送ると良いでしょう。

暑中見舞い

暑中見舞いとは、梅雨明けから立秋までの間に送る挨拶状です。立秋の年は年によって異なりますが、8月7日や8月8日頃となります。

元々は、1年を24分割した「二十四節気」の小暑(7月7日頃)以降に送るとされていました。しかし、最近では7月半ばになっても梅雨が明けないこともあり、梅雨の最中に「暑中見舞い」を送ってしまえば、気候とはズレた挨拶状となりかねません。

そのため、相手が住んでいる地域における梅雨明け以降に送ることが望ましいとされています。

お礼状

お礼状とは、相手からお中元やお祝いの贈り物などをいただいた場合など、相手に特別お世話になった場合などに送る挨拶状です。

お礼状は、できるだけすぐに発送するのがマナーとされています。贈り物を頂いた場合のお礼状は、受け取ってから3日以内くらいには発送すると良いでしょう。

なお、特に生鮮食品などをいただいた場合には、無事に届いたかどうか相手方が気にしている場合もあります。そのため、受け取ったらすぐに電話などで受け取ったことの報告と簡略的なお礼を述べ、あらためてお礼状を送るようにすると丁寧でしょう。

挨拶状をスムーズに送る方法

挨拶状は、適切なタイミングで送付することが基本です。時期を逸してしまえば、失礼ともなりかねません。

では、挨拶状をスムーズに送るためにはどうすればよいのでしょうか?検討したい方法は、次の2点です。

送付先リストを常に最新に保つ

挨拶状を送る必要が生じた際にスムーズに発送するためには、送付先リストを常に最新に保っておくことをおすすめします。

具体的には、リストにある相手から本社移転の連絡や氏名の変更、役職の変更などの通知を受けたら、その時点ですみやかに送付先リストへ反映しておくなどです。

すぐに反映しておくことで、いざ挨拶状を送る必要が生じた際に変更連絡を受けたハガキなどを慌てて探す必要がなくなります。また、変更の反映が漏れてしまい、相手の情報を誤ったまま挨拶状を送ってしまう事態を防ぐこともできるでしょう。

テンプレートを活用する

挨拶状を送る必要が生じた際に、文面を一から検討していては、時間を要してしまいます。そのため、テンプレートを活用すると良いでしょう。

お礼状など個々に手書きをして送ることが望ましいものについては、基本の文例をあらかじめ作成してパソコンなどに保存しておくと、いざというときにその下書きを参照しながら書くことが可能となります。

また、多くの送付先に送るものなど印刷で作成するものについては、当サイト「挨拶状印刷.jp」などのテンプレートを活用し、印刷まで委託をするとスムーズでしょう。

まとめ

挨拶状の印刷や発送にかかった費用を仕訳する勘定科目は、原則として「通信費」となります。場合によっては「広告宣伝費」としても構いません。ただし、原則として「交際費」とはなりませんので、注意しましょう。

さて、当サイト「挨拶状印刷.jp」では、企業から送る挨拶状のテンプレートをシーンごとに数多くご用意しております。文面の変更も可能ですので、オリジナルの挨拶状を簡単に作成いただくことが可能です。

挨拶状の発送が必要となった際には、ぜひ挨拶状印刷.jpのご利用をご検討ください。