開業をした場合には、ぜひ挨拶状を送りましょう。挨拶状を送ることで相手への敬意が伝わる他、今後の業務につながる可能性があるためです。
しかし、マナー違反の挨拶状を送ってしまうと、信頼できない企業であると判断されて逆効果となってしまうかもしれません。今回は、開業の挨拶状を送る際に注意すべきマナーについて詳しく解説します。
開業の挨拶状とは
開業の挨拶状とは、開業したことを相手へ伝える書状のことです。
最近ではEメールやSNSなども発達していることから、これらを使って開業を知らせることができるでしょう。しかし、だからこそ、あえて手間をかけて挨拶状を送ることで相手への敬意が伝わり、相手の印象に残りやすくなります。
特に、開業のスタートダッシュを切るためには、開業したことを知り、応援してくれる相手をいかに増やすのかが重要です。SNSはカジュアルな案内方法として活用し、今後もお付き合いをしたい相手やこれまでお世話になった相手などには、挨拶状を活用すると良いでしょう。
開業の挨拶状はいつ送るのがマナー?
開業の挨拶状は、開業の1週間から2週間前までに送ることがマナーであるとされています。
相手によってはお祝いの花などを送ってくれることもありますので、開業日目前で挨拶状が届いてしまうと、相手を慌てさせてしまうかもしれません。また、開業するのが飲食店などである場合には、身近な人などのみを招くプレオープン日を設ける場合もあるでしょう。
この場合には、遅くともプレオープンの2週間前までには届くよう、挨拶状を手配することをおすすめします。プレオープンに出向きたくても、1週間前など日が迫ってから挨拶状が届いてしまうと、すでに別の予定を入れるなどして都合がつかない人が増えてしまう可能性があるためです。
開業の挨拶状を送る際のマナー:基本編
開業の挨拶状を送る際には、さまざまなマナーが存在します。まずは、基本のマナーを解説していきましょう。
「ハガキ」か「封筒に入れる」べきか
挨拶状は、ハガキへ印刷してそのまま送る場合と、挨拶状を封筒に入れて送る場合とが存在します。これは、どちらであってもマナー違反ではありません。
ただし、封筒に入れた方がよりフォーマルできちんとした企業であるとの印象を与えられます。そのため、開業のなかでも会社の設立の場合など比較的格式高い印象を与えたい場合には、封筒に入れて送ると良いでしょう。
「横書き」か「縦書き」か
伝統的な挨拶状は、縦書きで作成することが通例です。そのため、相手へよりフォーマルな印象を与えたい場合や比較的年配の人を中心に挨拶状を送る場合には、縦書きで作成すると良いでしょう。
しかし、最近では若年層を中心に、横書きの方が見慣れている人が増えています。パソコンやスマートフォンの文章が横書きであることも、その理由の一つでしょう。
そのため、挨拶状の送付先に比較的若い世代が多い場合には、横書きで作成した方が読みやすいかもしれません。
開業の挨拶状を横書きで作成したからといってマナー違反ということにはなりませんので、送る相手や相手へ与えたい印象に応じて選択すると良いでしょう。
誰に送るべきか
開業の挨拶状を送るべき相手に、特に厳密な決まりがあるわけではありません。
ただし、開業の挨拶状を送っておくことで、今後顧客候補となってくれる可能性が高くなります。そのため、できれば広く送っておくと良いでしょう。
なお、以前の勤務先と同じ業種で開業をする場合に以前の勤務先の顧客へ挨拶状を送付してしまうと、前勤務先との間で顧客を奪おうとしているのではないかとトラブルになるリスクがあります。
業種や退職時の取り決め、前勤務先との関係性などによって異なりますので、状況に応じて慎重に判断するようにしてください。
開業の挨拶状を送る際のマナー:本文編
開業の挨拶状には、本文のマナーも存在します。これらは、開業の挨拶状に限らず、挨拶状全般に共通するマナーですので、ぜひ覚えておくと良いでしょう。
頭語と結語を記載する
挨拶状はいきなり本題から書き始めず、頭語から記載し、結語で締めることがマナーとされています。開業の挨拶状で使える頭語や結語は、それぞれ次のとおりです。
頭語
頭語とは、「拝啓」や「謹啓」など、文章のはじめに記載する文言です。
開業の挨拶状では、もっとも一般的な頭語である「拝啓」が使われることが多いです。また、より相手を敬いかしこまった印象を与えたい場合には、「謹啓」や「謹呈」を使用する場合もあります。
こちらも、開業するビジネスの内容などによって使い分けると良いでしょう。
なお、「前略」という頭語を見たことがある人も多いかもしれません。しかし、これは後ほど解説する時候の挨拶を省略する際に使う頭語です。
開業の挨拶状で時候の挨拶を省略することはそもそも適切ではありませんので、開業の挨拶状で「前略」を使うことはほとんどないと考えて良いでしょう。
結語
結語とは、「敬具」など、文章の最後に記載する文言です。
使用することができる結語は、使用した頭語によってある程度自動的に決まってきますので、組み合わせを覚えておくと良いでしょう。
頭語に「拝啓」を使用した場合の結語は、「敬具」や「敬白」です。また、頭語に「謹啓」や「謹呈」を用いた場合に使用できる結語は、「謹言」や「謹白」などとなっています。
時候の挨拶を記載する
開業の挨拶状では、頭語のあとに続けて時候の挨拶を記載し、その後本題に入ることがマナーとされています。時候の挨拶とは、季節感を表現しつつ、相手を思いやり敬う表現です。
企業や事業者宛に送る挨拶状では、次のような時候の挨拶が用いられることが一般的です。
- 「〇〇の候 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます」
- 「〇〇のみぎり 貴社におかれましては益々ご盛栄のことと心よりお慶び申し上げます」
この「〇〇」には、開業の挨拶状を送る季節に合った季語を挿入します。たとえば、次のようなものがあります。
- 早春:3月
- 立夏:5月
- 盛夏:7月
また、「候」か「みぎり」はいずれでも構いません。ただし、「みぎり」のほうが、やややわらかい印象となります。
そして、「ご隆盛」や「ご盛栄」は、企業の発展を願う言葉です。これらは、個人宛の挨拶状では使用することができません。
開業の挨拶状が個人宛である場合には、「ご隆盛」などの代わりに、「ご健勝」や「ご清祥」など、相手の健康を願う言葉を使いましょう。
たとえば、次のような具合です。
- 「〇〇の候 〇〇様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
- 「〇〇のみぎり 皆様方にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます」
なお、季節を問わずに使える表現として、「時下」があります。たとえば、「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」などと使用します。
開業の挨拶状において、この「時下」という表現を用いてもマナー違反ではありません。ただし、季節感のない表現であるため、やや形式的な印象を与えてしまう可能性はあるといえます。
句読点は使用しない
挨拶状では、「、」や「。」の句読点は使わないことが通例です。これは、句読点が文章を区切る役割をもつため、「縁を切る」ことを連想させてしまうためであるといわれています。
また、挨拶状が日本古来のものであることに対して句読点が使われ始めたのは比較的近年であるため、挨拶状に句読点が馴染まないからとの説もあります。
ただし、最近では読みやすさを重視して、横書きで作成する比較的カジュアルな挨拶状を中心に、句読点が使われることも増えてきました。そのため、開業するビジネスの内容や挨拶状を送る層などに応じて検討すると良いでしょう。
たとえば、飲食店などの開業であり、挨拶状を送る相手が比較的若い場合などには、句読点を使っても良いでしょう。一方、士業事務所など固めの印象を与えたいビジネスの開業である場合や送る相手に年配者が多い場合などには、従来のマナーどおり句読点は使わない方が良いでしょう。
誤字脱字に注意する
挨拶状を作成する際には、誤字脱字に注意してください。開業の挨拶状に誤字や脱字があると、不注意な企業であるとの印象を与えてしまいかねないためです。
なお、仮に印刷後に誤字脱字を見つけてしまったとしても、これを修正テープで直したり二重線で直したりすることはマナー違反です。面倒であっても、誤字脱字を見つけたら改めて印刷し直すようにしてください。
開業の挨拶状を送る際のマナー:封筒と宛名編
開業の挨拶状を送る際には、封筒と宛名についてのマナーにも注意しましょう。主なポイントは、次のとおりです。
宛名の誤りに注意する
挨拶状を作成する際には、宛名の誤字脱字に注意してください。特に、相手の氏名や社名などの間違いは非常に失礼に当たりますので、複数回にわたってよく確認することをおすすめします。
パソコンで送付先リストを作成した場合には、変換を誤ってしまうことが少なくありません。同じ読みの似た漢字が複数存在する場合には、特に注意して確認するようにしてください。
適切な敬称を使う
挨拶状の宛名には、適切な敬称を使いましょう。宛名に使う敬称は、原則として「様」「先生」「御中」の三択となります。
これらの使い分けは、次のとおりです。
- 「様」:送付先が個人である場合に使用します。たとえば、「挨拶 太郎 様」などです。また、「株式会社挨拶 代表取締役 挨拶次郎 様」、「印刷株式会社 営業部 部長 印刷花子 様」などのように、団体内の個人宛に送る場合にも「様」を使用します。
- 「先生」:送付先が弁護士などの士業や、恩師である場合などに、「様」の代わりに使用します。「たとえば、「挨拶 誠 先生」、「弁護士法人挨拶 弁護士 挨拶 太郎 先生」などです。
- 「御中」:送付先が会社や部署など、団体である場合に使用します。たとえば、「株式会社挨拶 御中」「印刷株式会社 営業部 御中」などです。
なお、次のような誤りが散見されますので、このような間違いをしないように注意してください。
- 「挨拶誠 先生様」:「先生」と「様」をつなげて使用することはありません。この場合には、「挨拶誠 先生」が正しい表現です
- 「印刷株式会社 営業部 印刷花子 部長様」:役職名である「部長」と「様」をつなげて使用することはありません。この場合には、「印刷株式会社 営業部 部長 印刷花子 様」が正しい表現です
- 「印刷株式会社 営業部 部長 印刷花子 御中」:個人名に「御中」をつけることはありません。この場合には、「印刷株式会社 営業部 部長 印刷花子 様」が正しい表現です
- 「印刷株式会社 営業部 様」:部署名や団体名に「様」は付けません。この場合には、「印刷株式会社 営業部 御中」が正しい表現です。
また、ご夫婦など複数の相手に1枚の挨拶状を送る場合には、それぞれの氏名に敬称をつけることがマナーです。「様」などの敬称を複数人で一つにまとめてしまうことのないよう注意してください。
縦書きの挨拶状を封筒に入れる際には逆さまにならないように注意する
縦書きの挨拶状を、宛名を縦書きにした封筒に入れて送る場合には、挨拶状と宛名が上下逆さまになってしまわないように注意してください。
なお、封筒に入れる挨拶状の裏表については、どちらでも構わないとされています。伝統的には宛名側を表にして挨拶状を封入すべきとされる一方で、裏から開けた際にすぐに本文が見えるように裏向きに入れるべきとの考えも有力であるためです。
洋封筒に宛名を縦書きする際は入れる向きに注意する
洋封筒(封筒の長辺に口のある封筒)に宛名を縦書きして使用する場合には、封筒の向きに注意してください。
開業の挨拶状では、封筒の裏側から見たときに右側からフタを閉じるようになる向きで使用することが一般的です。これを、「右封じ」といいます。
なお、弔事用の場合にはこれが逆となり、裏側から見て左側からフタを閉じる形で使用するのが通例です。これを、「左封じ」といいます。
開業の挨拶状をマナーに沿って送るためのポイント
開業の挨拶状は、ぜひここまでで解説をしたマナーに注意して送りたいものです。最後に、開業の挨拶状をマナーに沿って送るためのポイントを3つ紹介します。
挨拶状の基本マナーを知る
ここまでで解説してきたように、挨拶状にはさまざまなマナーが存在します。このようなマナーを知らなければ、思いがけず失礼な挨拶状を送ってしまうかもしれません。
そのため、今回解説したマナーについては、最低限知っておくと良いでしょう。
計画的に準備をする
先ほども解説したように、開業の挨拶状は、開業の1週間から2週間前までに送ることがマナーとされています。
しかし、開業前後は何かと忙しいため、気がついたときには適切な送付時期を逸してしまうような事態にもなりかねません。また、開業時には挨拶状などの送付リストもないことが多いため、リストの作成だけでも時間がかかる可能性が高いといえます。
そのため、開業を決めたら、できるだけ早くから計画的に挨拶状を送る準備を進めていくと良いでしょう。
テンプレートを活用する
ただでさえ開業準備で忙しい時期に、自分で一から挨拶状の文面を検討することは非常に大変です。慌てて作成した結果、誤字脱字が生じたりマナー違反の内容となってしまったりするような事態はできるだけ避けたいことでしょう。
そのため、開業の挨拶状の作成は、当サイト「挨拶状印刷.jp」でご用意しているテンプレート(文例)を活用することをおすすめします。テンプレートを活用することで、マナーに即した開業の挨拶状を簡単かつ短時間で作成することができます。
まとめ
開業の挨拶状には、さまざまなマナーが存在します。開業という重要な時期にマナー違反の挨拶状を送ってしまうことのないよう、ぜひ開業の挨拶状の作成は当サイト「挨拶状印刷.jp」をご利用ください。
挨拶状印刷.jpでは、開業の挨拶状だけでも数多くのテンプレートを取り揃えていますので、さまざまな業種やシーンに応じてお好みの内容を選択していただけます。また、文章を書き換えていただくこともできますので、オリジナリティのある挨拶状を簡単に作成することが可能です。
マナーに即した開業の挨拶状の作成は、ぜひ「挨拶状印刷.jp」にお任せください。